研究課題/領域番号 |
21K18989
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
岡崎 琢也 明治大学, 理工学部, 助教 (60772556)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 水熱合成 / リアルタイム計測 / 反射吸光測定 / SrTiO3:Rh / アレニウスプロット |
研究実績の概要 |
水熱合成法は,高圧高温の水を利用する無機材料合成法の一つである。一方,圧力容器内で起こる反応の進行は,時間ごとの回収・分析という労力の上で確認されるため,反応過程の追跡や速度論的な議論は難しい。本研究の目的は,圧力容器内での無機材料の水熱合成過程を光ファイバーセンシングに基づき,リアルタイムで観測する技術を開発することである。 本年度は,前年度作製したサファイア窓つきオートクレーブを用い,SrTiO3:Rhの合成反応をモデルとした種々の測定を行った。まず,ビデオカメラによって生成物の色の変化を撮影し,反応の様子を映像として得た。また,それぞれの画像をRGBに分割し青色の頻度を抽出した結果,反応時間に対して変化が昇温中に完了することがわかった。 またサファイア窓を通じて光ファイバー型反射プローブセンサーを接続し,反射吸光度測定を行った。昇温速度が1.0°C min-1 の条件における反射吸光の連続測定の結果から,出発物質であるTiO2の380 nm前後の吸収端波長が,SrTiO3:Rh の生成につれて550 nm前後まで広がっていく様子が確認された。 異なる昇温速度でも同様に吸収波長の変化が得られ,これらの反射吸光度の変化から反応率を推定して速度論的解析を行った。算出したAvrami係数から単一素過程と仮定し,小沢法によるアレニウスプロットから本法のSrTiO3:Rhの活性化エネルギーを決定できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反射吸光プローブを用いることで,課題であった光吸収のリアルタイム計測を達成した。一方で得られたデータの解析と発展性の探索,それを基にした活性向上への試みが必要である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,得られたデータの解析と共存物質の影響調査,材料への反映,すなわち光触媒材料であるSrTiO3:Rhの活性向上への試みを中心に展開する。現時点では,SrTiO3:Rhの合成系に対して化学的条件を固定して測定と解析を行っている。得られた知見を基に,ドープ元素の有無や種による可視光吸収への影響や酸化状態について,合成過程にて得られる情報を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は作製したオートクレーブや反射プローブの高温での劣化や光源などの長時間使用による計測システムの劣化を想定していたが,現時点では使用には耐えられている。今後は,さらなる使用に伴い,それらの修復や再購入に使用する予定である。
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