研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、筋肉のように伸縮自在な材料を生み出すことを目的とし、高分子ゲルに関する二つのアプローチによってこの課題に取り組んだ。一つは多孔性結晶の構成要素を繋ぐことで精緻なゲルを合成する手法であり、結合形成のモンテカルロシミュレーションを可能にする系の開発によってネットワーク高分子の精製の有様が精密に予測できるようになった。もう一つは可変長高分子セグメントという考え方で新たなモノマーを設計し、外部刺激によって長さを変えられる高分子の合成に成功した。
高分子化学
有機化学やナノテクノロジーの発展によって原子を精密に配置する技術が日々進歩しているが、より大きなメゾスコピック領域では途端に難しくなるのが現状である。筆者らが開発した手法によって精密に原子が配置されたネットワーク高分子を作れるようになれば、生体が作り出すような精緻な複雑系を設計することも可能になると考えられ、非常に微細な原子配置の設計によってメゾスコピックあるいはマクロスコピックな物性を階層的に制御できるようになることが期待できる。