研究成果の概要 |
シリカガラスは, SiO2から成り,シリコンフォトニクスの導波路や,半導体の絶縁膜として重要な要素として注目されている.我々はこれまでバルクのシリカガラスが高温高圧印加処理により大きな空隙が縮小し構造が均質化することを見出した.しかし物理的な圧力は実験が難しいため、空隙サイズに近い格子定数をもつ結晶基板の上に薄膜SiO2アモルファスを積層し構造や物性の制御可能性を検討した.結果として結晶基板の種類によってアモルファスの構造や熱伝導率が大きく変化し、膜厚や薄膜作成方法によってもこれを変えられることもわかってきた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はガラスの化学的圧力を使ったトポロジー制御という,これまでにない新しいやり方を用いたガラス構造の制御方法の提案と実証である.研究開始時には加圧したシリカガラスは密度が高く均質性が上がることから,熱伝導率が上がることを期待していた.これが逆に大きく下がったことから,工業的にはややインパクトが下がってしまったものの,アモルファスの熱伝導率が何によって決まるのかを明らかにする重要な知見となったと考えている.まだ完全に明らかではないが,今回の検討でアモルファス構造の変化と熱伝導率の間に強い相関があることが示されたので,今後ガラスの熱伝導率を高めるための指針としても意義が大きいと考えている.
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