研究実績の概要 |
本研究では、地球の地下空間に遍在する最適な,1)温度,2)圧力,3)組成の条件を満たすホットスポットをミューオン透過測定及び地質調査から見つけ出し,資源合成へと活用することで『天然合成実験施設=ジオファクトリー』の実現を目指している.特に最終年度である3年目は、川出、森、二村の三者間の連携を強化し、これまでの①ミューオン透視装置開発および密度マッピング(川出),②地質調査による組成マッピング(森),③到達可能な地下条件での燃料合成法の開発(二村)について、物理、地質、化学分野が一体となったジオファクトリー研究として深化させるための検討を行った。 ①についてはミューオン透過装置の第一プロトタイプが完成した.これを用いて松本市にある弘法山古墳を対象とした透過測定の屋外試験を完了した.②については、採掘試料からの資源回収を目的として岩石中からの炭質物の濃集を試みた.濃集後は二村により炭質物のガス吸着性を評価することで、多孔性材料としての利用へとつなげる予定である.③では、試料に10GPaの圧力を印加できるダイアモンドアンビルセル(シンテック社製)を購入した.これにより高圧下でのin-situ XRD測定が研究室でも可能となり、地下を模した高圧・高温条件下での資源合成の研究へと展開できる環境が整った. 研究期間全体では、ジオファクトリー計画でのSTEP1における目標であった地表解析及び屋内実験を完了でき、さらに個々の研究者間の連携の強化が達成できた。今後、地下空間での資源合成やその可視化への展開が期待される。
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