研究課題/領域番号 |
21K19024
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野平 俊之 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (00303876)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / 電解合成 / 溶融塩 / 二酸化炭素 / 常圧 |
研究実績の概要 |
本研究は、「二酸化炭素を原料とした常圧ダイヤモンド合成」を実現しようとする挑戦的かつ極めて新規性の高い研究である。本研究では、溶融塩中において、二酸化炭素と水からのダイヤモンド電解合成の原理実証、反応メカニズム解明および電解条件最適化のための方法論の確立を目的とする。さらに、電流効率やエネルギー効率を計算・考察し、産業応用ポテンシャルを見極めることも目的とする。 本年度は、炭素源としてCO2、水素源としてH2Oを用いて、「二酸化炭素と水からのダイヤモンド電解合成」の実証実験を行った。その結果、溶融塩中にCO2とH2Oが吸収されることが示された。また、それぞれが吸収された後の状態は、試薬の添加により準備した溶融塩とほぼ同じであることが電気化学測定(サイクリックボルタンメトリー)により明らかとなった。さらに、上述のCO2とH2Oを吸収させた溶融塩中において、ニッケル板電極を用いて、種々の電位で電解を行った。得られたサンプルをラマン分光法および走査型電子顕微鏡で分析した結果、適切な電解条件で電解すると、ナノダイヤモンドが生成することが分かった。ただし、アモルファスカーボンが同時に生成することも多く、ダイヤモンドの割合が高くなる電解条件を見出す必要があることも分かった。ここで、CO2とH2Oの吸収量はさらに増やすことが可能と予想されるため、そのような溶融塩を準備して、より効率よくダイヤモンドが生成する条件を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、「二酸化炭素と水からのダイヤモンド電解合成」の実証が出来た。生成したダイヤモンドはナノサイズであったが、この原理実証は大きな成果である。一方、反応メカニズム解明および電解条件最適化のための方法論の確立に関しては、当初の予想どおり、一足飛びの進展は難しいが、一歩ずつ着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、昨年に引き続き、炭素源としてCO2、水素源としてH2Oを用いて、「二酸化炭素と水からのダイヤモンド電解合成」を行う。また、溶融塩中へのCO2およびH2Oの吸収量を増加させる検討も行う。さらに、反応メカニズムの解明および電解条件最適化のための方法論の検討を継続して進める。これらの知見にもとづき、電流効率やエネルギー効率を向上させる方法論の確立を目指す。あわせて、生成ダイヤモンドの物性測定も行い、将来の産業応用ポテンシャルの評価も行う。
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