研究課題/領域番号 |
21K19037
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上田 実 東北大学, 理学研究科, 教授 (60265931)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
キーワード | ジャスモン酸 / 始原植物ホルモン / ゼニゴケ / 受容体 |
研究実績の概要 |
植物のほとんどの生理機能は植物ホルモンによって制御されており、その進化的起源から複雑な植物ホルモンシグナル伝達ネットワークを解明する試みが盛んである。ジャスモン酸イソロイシン(JA-Ile)は、植物の病原菌感染や虫による食害への防御応答、二次代謝活性化などの作用をもつ植物ホルモンである。JA-Ileが多様な生物応答を引き起こす機構の一端は、受容体の解明によって明らかになった。モデル植物シロイヌナズナは13種のAtCOI1-AtJAZ共受容体ペアをもち、進化した陸上植物は多くのCOI1-JAZ共受容体ペアをもつ。高等植物では、これらが冗長的に機能しつつ、それぞれ異なる生物応答を制御している。一方、始原陸上植物ゼニゴケのMpCOI1-MpJAZ共受容体ペアは1種類のみであり、進化の過程でCOI1-JAZ共受容体ペアに重篤な遺伝的冗長性が発生したことが分かる。本研究では、始原陸上植物ゼニゴケの真の始原植物ホルモンを同定し、これをツールとして用い、遺伝子改変シロイヌナズナに投与することで、高等生物に残存する、冗長性出現以前の原始的なシグナル伝達系のみを選択的に動かすことを目的とする。 本年度は、ゼニゴケの始原ホルモンとして新規のホルモン分子を同定することに成功し、これらと既知の始原ホルモン分子dn-cis/iso-OPDAとの比較を行うことで、ツール分子としての有用性を検討した。また、in vitro評価系の構築を行うと共に、遺伝子組み換え植物体の作成を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ゼニゴケの始原ホルモンとして新規のホルモン分子を同定することに成功し、これらと既知の始原ホルモン分子dn-cis/iso-OPDAとの比較を行うことで、ツール分子としての有用性を検討した。また、in vitro評価系の構築を行うと共に、遺伝子組み換え植物体の作成を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
新規の始原ホルモン分子はツール分子として有用であり、その大量合成法を確立する。また、作成した遺伝子組み換え植物体を用いる遺伝子発現実験を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の影響により、国際共同研究として実施を予定していた遺伝子変異体植物の作成に遅延が生じた。このため、研究計画の一部を次年度に延期する必要が生じ、次年度使用額が生じることとなった。
|