研究課題/領域番号 |
21K19049
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柴田 知範 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (80711960)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | CAGリピート / ハンチントン病 / 経鼻投与 / 全脳イメージング |
研究実績の概要 |
ハンチントン病は、CAGリピートの異常伸長により脳線条体の神経細胞が欠落する難治性疾患である。CAGリピート結合低分子であるNAをハンチントン病モデルマウスの脳線条体へ直接投与することによりCAGリピートが短縮することを見出している。NAの投与は、血液脳関門により血中からの脳内移行が制限されているため、外科手術を伴う侵襲的な直接投与に限られており、NA投与後のハンチントン病モデルマウスの表現型解析を困難にしている。本研究では、血液脳関門を介さず脳内送達可能で非侵襲的な経鼻投与に着目した。組織透明化3次元イメージングにより経鼻投与後のNAの脳内動態を解明すると同時にリピート短縮効果やハンチントン病モデルマウスの表現型への影響を明らかにする。 経鼻投与は、脳内への薬物送達が期待されているがその送達機構は、不明な点が多い。組織透明化3次元イメージングによる経鼻投与後の薬物動態解析により、経鼻投与経路の解明に貢献できるとともに、脳内動態と治療効果の相関を検証することで、薬物の脳内送達や脳内動態解析がボトルネックとなっている中枢神経疾患の治療法開発に資する新たな知見を提供できる。2021年度の研究では、Alexa594で標識したNA(NA-Alexa594)を経鼻投与した後、マウス脳を組織透明化技術とライトシート型蛍光顕微鏡を用いた全脳イメージングにより解析した。その結果、NA-Alexa594が脳内に送達されていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経鼻投与したNA-Alexa594が脳内へと送達されていることを組織透明化技術とライトシート型蛍光顕微鏡を用いた全脳イメージングにより確認できており、経鼻投与後の脳内動態を解析する準備が整ったため。
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今後の研究の推進方策 |
経鼻投与後のNA-Alexa594を全脳イメージングにより検出可能であることを確認しているので、投与後の脳内分布の経時変化を詳細に調べるとともに、標的部位である線条体への送達についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
経鼻投与によるNA-Alexa594の検出がスムーズにできたために蛍光標識試薬に関する費用が抑えられた。今後の解析のために化合物が多く必要になるため、蛍光標識試薬の購入を予定している。また新型コロナウィルス感染拡大のために学会などが全てオンライン開催になったため。
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