研究課題/領域番号 |
21K19050
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 亜沙子 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50557121)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | RNA / 立体構造解析 / 低分子化合物 |
研究実績の概要 |
本研究は、低分子NA(Naphthyridine Azaquinolone)で誘起される新奇RNA立体構造の実証を目的とする。先行研究により、DNA結合低分子として開発されていた低分子NAが、特徴的なRNAモチーフに結合することが明らかになった。また、NAと標的RNAモチーフとの複合体モデルを構築したところ、標的RNAに特異な核酸塩基のフリップアウト構造の形成が提案された。本研究の目的は、NAで誘起されるこの新奇RNA立体構造を実証することである。これにより、RNA標的に必要な低分子の構造要件を得るとともに、NA-標的RNA複合体構造の生物学的利用を目指す。目的達成のため、以下の3つの研究項目を設定し、実施することとした。 1) 標的RNAモチーフの変異体の表面プラズモン共鳴測定による結合評価: 本研究項目の実施により、NAと標的RNAモチーフとの結合に必要なRNA配列要件を見い出す。 2) 酵素分解によるNA-標的RNAの複合体構造の解析: 本研究項目の実施により、NAの有無による標的RNAの構造変化を生化学的手法により解析する。 3) NA-標的RNAの複合体構造のNMR解析: 本研究項目の実施により、NA-標的RNAの複合体の立体構造を解析する。 以上の研究項目を実施することにより、NAが誘起しうるRNA立体構造を実証する。今年度は、1)の研究項目を実施した。標的RNAにおけるNA結合部位の塩基配列を種々に変化させたRNA変異体を作製し、それらとNAの結合の有無、結合親和性等を表面プラズモン共鳴測定(SPR)法により詳細に調べた。その結果、標的RNAモチーフを挟んでいるflanking塩基対がNAの結合に重要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初計画にあった「研究項目1) 標的RNAモチーフの変異体の表面プラズモン共鳴測定による結合評価」を実施した。当初の予定通り、標的RNAにおけるNA結合部位の塩基配列を種々に変化させたRNA変異体を作製し、それらとNAの結合の有無、結合親和性等を表面プラズモン共鳴測定(SPR)法により詳細に調べ、NAの標的RNAモチーフ周辺の塩基対がNAの標的RNAへの結合に重要であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(2021年度)に得られた知見をもとに、研究項目1)ではさらなるRNA変異体のデザイン・作製を行い、同様のSPRによるNAとRNA変異体の結合評価を行うことで、NA結合に必要なRNA配列要件をさらに調べる。また、次年度以降、研究項目2)および3)を開始し、低分子NAが誘起する新奇RNA立体構造の実証と応用を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めるにあたって必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に大きな変更はなく、前年度の研究費も含め当初予定していた計画に沿って研究を進める。
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