研究課題/領域番号 |
21K19072
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
今村 彰宏 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30610951)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 特発性肺線維症 / シアリダーゼ / シアル酸 / 有機合成 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究実施計画に従って既知の阻害剤リード化合物の効率的合成経路の確立と大量合成化を検討した。先行研究において主な課題となったのはシアル酸9位のアミド化であったことから、本研究では当該反応の収率改善に注力した。まず、アミドの合成前駆体となるアジド基を9位に導入するために、9位水酸基をトシル化した。しかし、この際、合成経路上、4、7、8位水酸基も遊離であることから位置選択的なトシル化が課題となった。そこで、スルホン酸エステル化の位置選択性を高めるため、トシル基からトリス基へと変更した。これにより9位スルホン酸エステル化の収率改善に成功した。続いて、9位をアジド基で置換することで、鍵中間体である9位にアジド基を有し、4、7、8位が遊離の水酸基であるDANA誘導体を得た。次に、アジドからアミドへの変換を検討した。まず、Staudinger還元によりアミンへと誘導後、酸クロリドや活性エステルを反応させることでアミドを得ようとしたが、どれも芳しい結果を与えなかった。そこで、DPPEと酸クロリドを用い、aza-Wittig反応を経由したアミド化を試みたが、これも目的物を与えなかった。しかし、同反応を、4、7、8位水酸基をアセチル基で保護した誘導体で行ったところ、高収率で目的のアミド体を得ることに成功した。これにより、従前の課題であった9位アミド化を効率的に行うことが可能となり、目的のリード化合物のグラムスケールでの合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画で予定していた成果を上げたため
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に基づいて、リード化合物のアミド部分の構造改変を行い、より高度かつ高選択的にNEU1活性を阻害する化合物の創出を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予算計画で考えていた高額物品(有機合成装置)の納期の都合により購入を翌年に変更したことで次年度使用額が生じた。次年度は、本物品を購入すると共に、当初の予算計画に従い、物品費(主に消耗品)、旅費等への支出を計画している。
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