研究課題/領域番号 |
21K19078
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
増田 誠司 近畿大学, 農学部, 教授 (20260614)
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研究分担者 |
後藤 剛 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10550311)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | RNAスプライシング / 食品化合物 / 構造活性相関 |
研究実績の概要 |
食品の機能性に関する研究は年々盛んになっており、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品が登場している。このように超高齢社会を迎えた日本では食品成分に高い機能性を求める社会状況が定着しており、今後これまでにない機能性を持つ食品が期待されている。ただ食品成分からの機能性の研究は、時間のかかる古典的な手法が今でも主流であり、迅速な解析手法の開発が望まれている。本研究は、食品中の活性化合物をリード化合物として活性化合物を迅速に探索する試みである。そのために幅広い強さの活性化合物について構造と活性に関する情報ライブラリを整備する。その情報に基づき候補化合物を推定する。最後に候補化合物の機能性を評価するリバーススクリーニング手法を用いて探索を効率化する。食品分野において、構造活性相関を用いて効果的な活性化合物を系統的に類縁体から探索する試みは広がっておらず、本研究は食品分野に新たな概念を導入することが期待できる。 これまでに見出した活性化合物から共通構造としてカテコール構造に着目した。いくつかの類縁体で解析すると、比較的弱いながらも活性が存在していた。この結果から既知の食品成分由来活性化合物をリード化合物とし、活性発現に必要な構造を推定し、実際の活性評価とを繰り返す手法の有効性をある程度まで示すことができ、第一段階としてまずますの結果と判断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近年、抗ガン剤の創薬ターゲットとしてmRNAのスプライシング過程が注目されている。ガン細胞の一部ではスプライシング因子に変異がみられ、スプライシング阻害剤に対して高い感受性を示す。このため抗ガン剤の創薬ターゲットとしてmRNAのスプライシング過程が注目されている。これまでのスクリーニングは強い阻害活性を持つ化合物に特化したもので、食品成分に多い低程度から中程度の活性については見過ごされてきている。そこで、スクリーニング系としてmRNAスプライシングを取り上げ、幅広い強度のスプライシング阻害活性を検出できる評価系を構築した。食品抽出物より活性化合物を探索し、いくつかの化合物を発見した。ついでこれら化合物の共通構造を解析した。その結果、カテコール構造に着目した。そこでいくつかの類縁体で解析すると、比較的弱いながらも活性が存在していた。この結果から既知の食品成分由来活性化合物をリード化合物とし、活性発現に必要な構造を推定し、実際の活性評価とを繰り返す手法の有効性をある程度示すことができたため、現時点では概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
共通構造をもつ化合物について、主として食品成分を対象に探索する。加えて、その類縁体をin silicoにてライブラリ作成する。候補化合物は東大、阪大、北大、理研等の化合物ライブラリ拠点より供与を受けられる場合には供与を受ける。ない場合には市販品として販売しているかについても検索する。それぞれ化合物について活性を評価し、構造と活性の相関関係をさらに検証する。この解析を繰り返し実施することで、活性を示すために必要な構造を絞る。好適な活性を示した化合物について、化合物処理した細胞の次世代シーケンスを実施する。阻害を受けるイントロンの特徴について、詳細に解析する。これらについて化合物間で比較し、構造の類似性と活性の相関についてさらに評価を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの拡大に伴い、研究活動を行う上でこれまでよりも制限を受ける様になった。例えば、試薬や実験器具の納期が長くなった。このため当初予定した実験試薬が届かない、あるいは器具が届かないなどのトラブルが生じたため、当初予定していた実験活動に遅れが生じた。様々な物品の納期が不定期に変わるので、余裕を持って注文することである程度納期の問題は回避して計画通り研究を進めていく。
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