研究課題
挑戦的研究(萌芽)
トリテルペン配糖体(以下、サポニンと記述)は植物が産生する低分子化合物群の一グループであり、天然甘味料原料として使用される甘草根に含まれる甘味成分のグリチルリチンなど多くの機能性成分がある。本研究では、多段階にわたるサポニン生合成に関わる複数酵素について、それらのタンパク間相互作用の有無を調べるとともに、微生物細胞内で人工的な酵素複合体(メタボロン)の形成を促進することによって組換え微生物細胞におけるサポニン生産量を増加させうることを見いだした。
植物代謝工学
希少な植物に特有の有用機能性成分を培養が容易な微生物を用いて、希少な植物原料に依存せず安定・安価に生産しようとする研究が多くなされているが、本来植物細胞が行っている多段階にわたる一連の酵素反応を微生物細胞内において再現することは必ずしも容易ではなく、実用化には生産性の向上が求められる。本研究は、微生物細胞内で多くの生合成酵素の複合体化を人工的に促進することで生産性の向上が可能であることを示したことから社会的意義がある。