研究課題
研究代表者の酵母を用いたこれまでの解析により、COPII小胞の形成が脂質代謝を介する転写制御によってコントロールされていることが見出された。しかし、その調節に関与する転写因子の支配下にある因子はまだ同定されていない。本研究では、転写因子の欠損株で発現が大きく変動した220の遺伝子を対象に網羅的にスクリーニングし、COPII小胞の形成に関与する因子の同定を目指す。また、実験モデル生物として酵母とシロイナズナを用いて、COPII小胞形成に必要なSEC遺伝子との多重変異株を作製し、候補因子のCOPII小胞の形成における役割の解明も目指す。初年度の2021年度は、220の遺伝子のうち転写因子の欠損株で発現が減少した173遺伝子を野生型酵母に形質転換し、過剰発現させて、酵母の生育を悪化させる遺伝子を探索し、8つの候補遺伝子を取得した。さらに、絞り込みを行うため、酵母の候補遺伝子とSEC12遺伝子との二重変異株を作製し、sec12-4変異による表現型における候補遺伝子破壊の抑圧効果を解析し、COPII小胞の形成を負に制御する2つの候補遺伝子を同定した。この結果を踏まえ、シロイヌナズナの候補遺伝子ホモログとSEC遺伝子間での交配による二重変異株の作製に取り掛かった。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、220の遺伝子を対象に網羅的にスクリーニングし、COPII小胞の形成に関与する因子の同定とCOPII小胞形成における役割の解明を目指している。2021年度は、転写因子の欠損株で発現が減少した173遺伝子を対象に、過剰発現によって酵母の生育が悪化する遺伝子をスクリーニングし、8つの候補遺伝子を取得した。さらに、それら8つの候補遺伝子とSEC12遺伝子との二重変異株を作製し、表現型解析による絞り込み行った。その結果、遺伝子破壊によってsec12-4変異の表現型を抑圧する2つの遺伝子を取得することができ、COPII小胞の形成を負に制御する候補遺伝子を発見することができた。また、その結果を踏まえ、交配によるシロイヌナズナの候補遺伝子ホモログとSEC遺伝子間での二重変異株の作製にも取り掛かった。以上の結果から、ほぼ当初の計画通り、順調に進展している。
2021年度で作製した候補遺伝子とSEC12遺伝子との二重変異株を用いて、COPII小胞形成における候補遺伝子の役割について解析を行う。また、候補遺伝子産物と物理的相互作用するタンパク質の酵母遺伝子とSEC遺伝子との二重変異株の作製を行う。シロイヌナズナの二重変異株の作製も継続して行う。さらに、220の遺伝子のうち転写因子の欠損株で発現が増加した47遺伝子については、sec12-4変異株に形質転換し、過剰発現させて表現型を抑圧する多コピーサプレッサーをスクリーニングし、COPII小胞の形成を正に制御する候補遺伝子の取得を目指す。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
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