研究実績の概要 |
本研究ではこれまで、グラファイトカーボンブラックをイオン化支援材として用いたレーザー脱離イオン化質量分析(GCB-LDI-MS)法により、揮発/不揮発性および疎水/親水性の低分子食品成分の一斉検出が可能であることを明らかにしてきた。そこで本年度は、この味と香りを同時分析できるワンストップ食品分析法を活用した新たな食品品質評価法の構築を目的とした。生産国の異なる3種のしょうゆA、B、Cを分析対象とし、試料(100倍希釈液、内標準:[13C6] Glc、[13C5,15N1] Glu)0.5 micro-LをGCB上に直接滴下・風乾後、GCB-LDI-MS分析に供した。その結果、3種の異なる醤油より正イオンモードでは総計568シグナル、負イオンモードでは672シグナル(S/N ≧ 3)が集約された。観測されたMSシグナルm/z情報に基づき主成分分析を行った結果、生産国の違いを明瞭に識別することができた。さらに、識別寄与因子として、単糖類([M+Na]+:203.1 m/z)、二糖類([M+Na]+:365.1 m/z)、lactic acid([M+Na]+:112.9 m/z)、Glu([M-H]-:146.0 m/z)およびpyroglutamic acid([M-H]-:128.0 m/z)(因子負荷量 ≧0.3)が抽出され、これら因子のMS強度と含量との間に良好な相関関係にあることが判明し、醤油品質への寄与が高い成分であることが示唆された。
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