研究課題
翻訳後修飾の一つチロシン硫酸化の機能解析手段として重要な硫酸化ペプチドの新たな合成法の確立を目指し、ブレビバチルスに加え、大腸菌を用いた合成法の検討並びに、LC-MSによる硫酸化ペプチドの定量解析手法の条件検討を行った。特に、本年度(最終年度)はブレビバチルスで発現させた硫酸化酵素の活性を得るため、培養条件などを検討したが、活性型の酵素を得られることが出来なかった。そこで、活性型の酵素を得られる大腸菌(Origami)内でのpETDuetベクターを用いた共発現系構築を行い、発現条件や分子シャペロンなども検討したが、基質と酵素の同時発現を確認することが出来なかった。そこで、基質と硫酸化酵素、そして硫酸基供与体の合成酵素をそれぞれ単独発現する大腸菌を用いた合成を試みた。本手法は、基質と硫酸化酵素、硫酸基供与体の合成酵素を組換え発現する大腸菌を培養し、破砕後に調製した租酵素液を混ぜ合わせ、酵素反応にて硫酸化ペプチドを合成後、基質をHisタグにて精製する方法である。反応条件を検討し、HPLCにて解析した結果、本手法により、1Lの培地から1.6mgの硫酸化ペプチドの合成が可能になることが明らかになった。次に、硫酸化ペプチドの質量分析を用いた分析条件の検討をコレシストケニン硫酸体(CCK-S)を用いて行い、実際にPSGL1やC4、ACE2の硫酸化ペプチドにて分析を行った結果、MRM法を用いた定量解析に求められる最適なtransitionの条件を確立したほか、定性解析にも利用できるMRM-IDAの手法による分析が可能であることも確認できた。本研究で確立した遺伝子組換え大腸菌を利用した硫酸ペプチドを活用した機能解析の他、タンパク質の翻訳後修飾の硫酸化の定量と定性解析につながる萌芽的な結果が得られたと考えている。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 88 ページ: 368~380
10.1093/bbb/zbae008