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2022 年度 実績報告書

組織によって生理的濃度域が異なるインスリンの感知機構とその役割

研究課題

研究課題/領域番号 21K19093
研究機関大阪公立大学

研究代表者

原田 直樹  大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (00529141)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワードインスリン / アポトーシス / 小胞体ストレス / caspase-12 / 膵臓β細胞 / tunicamycin / 膜電位
研究実績の概要

膵臓β細胞で産生・分泌されるインスリンは、血糖コントロールの中心となるホルモンである。しかし、膵臓β細胞に対するパラクライン・オートクライン作用については十分に理解されていない。本研究課題では、膵臓β細胞におけるインスリンの作用に焦点を当てて研究を行っている。先行研究から、膵β細胞増殖促進や細胞死の抑制においてインスリン受容体、インスリン様増殖因子1(IGF-1)受容体の重要性は明らかになっていたが、インスリンとIGF-1のいずれが作用しているのかは明らかになっていなかった。膵β細胞株を用いて、小胞体ストレスの抑制作用を利用して検討した結果、tunicamycinによって誘導される小胞体ストレスに起因した細胞生存低下に対して、インスリンの方がIGF-1よりも生理的濃度下では抑制作用が強く、生理的に重要であることが示唆された。このインスリンによる細胞生存低下抑制作用は、抗アポトーシス作用が重要であることが判明した。小胞体ストレスによるβ細胞死誘導時には、一般的なアポトーシスと異なって、ミトコンドリアの膜電位が上昇することが明らかになった。さらに、インスリンは小胞体ストレスによるミトコンドリア膜電位上昇を抑制することを見出した。tunicamycinによる小胞体ストレス時にcaspase-12の発現が上昇し、インスリンはこのcaspase-12の発現上昇を抑制した。さらに、caspase-12の阻害剤によってtunicamycinによる細胞生存低下が抑制されたこと、caspase-12を高発現させると細胞生存率が低下したことから、膵臓β細胞における小胞体ストレス誘導性細胞死、およびインスリンによる抑制作用にはcaspase-12が関与することが判明した。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] インクレチンの生理作用と機能性食品成分による調節・模倣2023

    • 著者名/発表者名
      原田直樹
    • 雑誌名

      日本栄養・食糧学会誌

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [学会発表] 羅漢果(Siraitia grosvenorii) 由来モグロールによる胆汁酸受容体TGR5活性化と高脂肪食摂取KKAyマウスの高血糖抑制作用2023

    • 著者名/発表者名
      田中千智、原田直樹、漆崎広喜、寺岡佳晃、四元優佑、伊藤雄太、北風智也、乾隆、村田雄司、乾博、山地亮一
    • 学会等名
      2023年度 日本農芸化学会大会
  • [学会発表] 膵β 細胞における酸化ストレスによるRedd2 の発現調節と個体レベルでの役割2022

    • 著者名/発表者名
      坂本修哉、浦川夏帆、田宮央登、原田直樹、山地亮一、北風智也、乾博、松村成暢、真下知士
    • 学会等名
      第76回 日本栄養・食糧学会大会
  • [学会発表] 膵臓β細胞の小胞体ストレス誘導性アポトーシスに対するインスリンの抑制作用とその機構の解明2022

    • 著者名/発表者名
      村田菜々子、西村佳那、原田直樹、北風智也、乾博、山地亮一
    • 学会等名
      第76回 日本栄養・食糧学会大会
  • [学会発表] 生活習慣病の性差:腸内細菌と膵β細胞の関与2022

    • 著者名/発表者名
      原田直樹
    • 学会等名
      日本学術振興会 R021食と未病マーカー産学協力委員会 第9回研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] フルクトースの飲水摂取は膵β細胞減少を伴う耐糖能異常を誘発する2022

    • 著者名/発表者名
      新森耀、原田直樹、杉本圭一郎、北風智也、乾博、山地亮一
    • 学会等名
      第61回 日本栄養・食糧学会 近畿支部大会
  • [学会発表] Identification of G protein-coupled receptors GPR55 and GPR97 as molecular targets of curcumin and involvement of GPR55 in the antidiabetic function of curcumin2022

    • 著者名/発表者名
      Naoki Harada, Mai Okuyama, Yoshiaki Teraoka, Yumi Arahori, Tomoya Kitakaze, Takashi Inui, Naoki Goshima, Claus Schneider, Hiroshi Inui, Ryoichi Yamaji
    • 学会等名
      22nd International Congress of Nutrition (ICN2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] Mogrol derived from Siraitia grosvenorii activates the bile acid receptor TGR5 and suppresses hyperglycemia in high-fat diet-fed KKAy mice2022

    • 著者名/発表者名
      Chisato Tanaka, Hiroki Urushizaki, Yoshiaki Teraoka, Tomoya Kitakaze, Yuta Ito, Yuji Murata, Takashi Inui, Hiroshi Inui, Naoki Harada, Ryoichi Yamaji
    • 学会等名
      22nd International Congress of Nutrition (ICN2022)
    • 国際学会
  • [備考] 食品代謝栄養学-大阪公立大学

    • URL

      https://www.omu.ac.jp/agri/nc/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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