研究課題
オーキシンであるインドール 3-酢酸(IAA)は胚発生,花芽形成,側根形成,頂芽優勢,光・重力屈性など,植物の分化・成長のあらゆる局面に関与する。このような植物の複雑な形態形成や多様な環境応答には,オーキシンの組織・細胞濃度の動的制御が重要である。オーキシンは,細胞内でアミノ酸や糖と結合されることで不活性化される。不活性化代謝に関わる酵素の生理的な役割,細胞内局在や発現調節の全貌はまだまだ明らかとされていない。オーキシン受容体は主に核に局在することから,オーキシンは核に移送され,そのホルモン活性を発揮するが,細胞質から核に至るまでのオーキシン動態は不明である。これまでに,オーキシンの配糖体やアミノ酸複合体などのオーキシン代謝物が,オーキシン貯蔵体として小胞体などの細胞コンパートメントへ一時貯蔵されることよって,オーキシン量が調節されることが示唆された。そこで,オルガネラ特異的なオーキシン不活性化によるオーキシンのホルモン活性調節機構の解明を推進してきた。 本研究では,アミノ酸付加酵素GH3.17,オーキシンアミノ酸加水分解酵素ILR1および,オーキシン配糖体にかかわる配糖体化酵素UGT84B1に,野生型,細胞質局在,小胞体局在,核局在シグナルを付与した代謝酵素を発現する形質転換体を用いて,それら形質転換体の生理応答を解析した。その結果,オーキシン-アミノ酸複合体は,細胞質で合成された後,小胞体へと輸送されオーキシン貯蔵体として蓄積されることを明らかにできた。また,オーキシン―アミノ酸複合体は,加水分解により小胞体からオーキシンを供給することを明らかとした。さらに,過剰なオーキシン配糖体は,不活性化代謝物として液胞に輸送され,オーキシンへと分解・蓄積されることを明らかとした。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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