バニリンが微生物にもたらす細胞毒性の作用機作やバニリンに対する生理応答機構の解明は、バニリンの生産物毒性を回避可能な発酵生産菌株を創出するための重要課題である。本研究では、コリネ型細菌におけるバニリン毒性の作用機作として翻訳阻害と酸化ストレスが関与する可能性を新たに見出すとともに、遺伝子改変の組合せにより耐性がさらに向上した菌株の育種を達成した。また、フェルラ酸を原料とするバニリン生産菌株を育種するとともに、菌体反応プロセスの検討により高濃度のバニリン生産を達成した。これらの研究成果は、微生物の毒性物質に対する応答機構の解明とバニリンの発酵生産法の確立につながる重要な成果と考えられる。
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