研究実績の概要 |
最近、グローバルなDNAメチル化/脱メチル化が果実の成熟プログラムに関与することはトマトなど多くの果実で報告されている(Liu et al., 2015; Huang et al., 2019)。また、色素合成に関わるMYB遺伝子領域のトランスポゾン挿入ならびにそれに伴うDNAメチル化の変化が、ブドウなどの果実色変異の原因であることも知られている(Butelli et al., 2012; Castillejo et al., 2020)。一方、代表者らはブルーベリーの成熟におけるエピゲノム動態について研究を進める過程で、トランスポゾンがある特定の時期にある特定の器官で正確に切り出される、すなわち植物がトランスポゾンを正確に制御し、果実発達制御に利用していることを示唆する現象を発見した。 本研究の目的は、果実着色における時空間特異的トランスポゾン制御の関与の可能性を検証し、その制御メカニズムを明らかにすることである。これまでに、果実の着色開始時にDNAメチル化レベルが変動することを明らかにでき、DNAメチル化がブルーベリーの着色に関わる可能性を示した。 本年度は、①着色遺伝子近傍のトランスポゾン配列解析、②トランスポゾン制御遺伝子候補の機能評価実験に用いるための早期開花ブルーベリー個体の作出をおこなった。①については、トランスポゾン様配列の一部を特定できたが、全配列決定には至らなかった。一方②については、形質転換効率の改良をおこない、開花抑制遺伝子をゲノム編集によりノックアウトすることで、通常個体よりも半年早く開花する個体の作出に成功した。
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