研究課題
挑戦的研究(萌芽)
草本類の茎や根の中を遠赤色光(FR)が効率よく伝達されることが知られている。そこで,根まで到達したFRが地中で菌根菌共生を促進する可能性を検証した。その結果,700-910 nmの極弱い光で菌根菌の菌糸の伸長が促進される可能性を見出した。また,FRを照射した時の菌根菌の遺伝子発現を調査したところ,膜に関する多くの遺伝子の発現が変動していたことから,膜の機能が変化することによって菌根菌の菌糸の生長が促されている可能性が考えられた。
作物生理学
菌根菌と宿主植物の共生が成立するためには少なくとも菌根菌が分泌するファクターと宿主植物が分泌するストリゴラクトンの相互認識が必要であると考えられている。本研究では,それに加えて宿主植物から菌根菌への光によるシグナルが関与している可能性を示すものであり,植物生理学などの基礎研究に加え,土壌微生物学や土壌肥料学などの応用の側面が強い学問分野の教科書にも新たな記載を追加する極めて重要な研究である。