種子が冬期の低温に遭遇すると、一越年草では種子春化が、越年草では二次休眠が、それぞれ二者択一的に誘導される。キク科一越年草ヒメムカシヨモギの遺伝子PSV1を高発現で導入したシロイヌナズナ(Ws)は種子低温遭遇なしに早期開花性を示した。また、低温で種子二次休眠が誘導されるシロイヌナズ(Col)では、PSV1ホモログ遺伝子が高発現となった変異型は二次休眠誘導が生じなかった。以上から、PSV1が種子春化遺伝子であり、その発現制御が一越年草と越年草の生活史分化に係わった可能性が高い。生活史可塑性が大きい一越年草は越年草に比べて雑草性が高い。したがって、PSV1は雑草の本質的要素に関与すると考えられる。
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