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2021 年度 実施状況報告書

魚類コラーゲン製軟骨再生材料の開発:再生医工学研究のパラダイムシフトをめざして

研究課題

研究課題/領域番号 21K19130
研究機関北海道大学

研究代表者

都木 靖彰  北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (10212002)

研究分担者 浦 和寛  北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (90360940)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワード魚類 II 型コラーゲン / 細胞足場 / 軟骨再生 / 組織工学
研究実績の概要

小課題1.チョウザメ脊索Ⅱ型コラーゲン(NC)を用いたⅡ型コラーゲン線維コート技術の開発: 本研究室で開発されたチョウザメ浮袋コラーゲン(SBC)を用いた線維コート技術 (Moroi et al., DOI: 10.1016/j.msec.2019.109925) を基盤としてNCの線維コート技術を開発した(線維コートとは、コラーゲン原線維を培養容器底面に一様にコーティングする技術で、生体組織のコラーゲン性基質と細胞とのインタラクションの研究を可能にする新技術である)。Ⅱ型コラーゲン溶液の濃度、線維化バッファー(リン酸バッファー)の濃度、pH、インキュベーション温度などを最適化することで、世界で初めてⅡ型コラーゲンの線維コートに成功した。また、マウス軟骨前駆細胞ATDC5を用いた培養試験を実施し、Ⅱ型コラーゲン分子コートと比較して線維コート上では細胞増殖速度が低下する一方で軟骨基質産生を示すアルシアンブルー染色が強陽性となる(=前軟骨細胞から成熟軟骨細胞への分化が促進される)ことを確認した。今後軟骨細胞遺伝子発現量を定量する。
小課題2.NCを用いた3次元足場ゲルの開発: 市販のブタⅠ型コラーゲンのゲル化法を参考に、細胞毒性の低い架橋剤ゲニピンを添加することで、NCを用いてNC原線維から成るゲルとNC分子からなるゲルの合成に成功した。今後ゲルの粘弾性や細胞培養への応用技術を開発する。
小課題3.SBCもしくはNCを用いた軟骨細胞spheroid作成技術の開発: SBCを用いてマウス由来前骨芽細胞MC3T3-E1をスフェロイド化する技術を応用し、ATDC5細胞のスフェロイド化に挑戦した。しかし、MC3T3-E1がスフェロイド化する条件ではATDC5細胞はスフェロイド化しなかった。本技術開発には別のアイディアが必要であると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績欄に示したように、本研究課題は1~3の小課題から構成される。小課題1では目的であったⅡ型コラーゲンを用いた線維コート技術の開発を終了し、線維コート上では軟骨細胞分化が促進されることを細胞培養により証明した。この点では当初計画以上の成果がえられたと判断する。小課題2でもNCゲル合成の基礎技術の開発を終え、今後ゲルのキャラクタリゼーションと細胞培養のステージになった。本章課題の進展は当初計画通りであり、概ね順調であると判断する。一方、小課題3では当初の仮説通りにATDC5のスフェロイドを形成することができなかった。本章課題においては当初計画より遅れている。これらを総合し、概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

小課題1については、当初計画通り細胞培養の後軟骨分化マーカー遺伝子の定量PCRをおこなう。線維コート上の細胞は酵素処理により剥がしがたいほど強力にコート表面に接着している上、培養が進むにつれてATDC5は大量の軟骨基質を分泌するため、多細胞と同じ方法では十分な量のRNA抽出が不可能であった。その技術開発に時間がかかると思われる。小課題2については計画通りにゲルのキャラクタリゼーションをおこなった後、ATDC5細胞の培養を試みる。小課題3についてはスフェロイド合成技術の見直しをおこなう。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Effect of self-assembled type II collagen fibrils on morphology and growth of pre-chondrogenic ATDC5 cells2021

    • 著者名/発表者名
      Linyan SHI, Kazuhiro URA, Yasuaki TAKAGI
    • 学会等名
      The 8th international symposium of East Asia Fisheries Technologists Association
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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