| 研究課題/領域番号 |
21K19131
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| 研究機関 | 弘前大学 |
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研究代表者 |
桐原 慎二 弘前大学, 地域戦略研究所, 特任教授 (60519594)
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| 研究分担者 |
小畠 秀和 同志社大学, 研究開発推進機構, 教授 (10400425)
石川 義朗 公益財団法人環境科学技術研究所, 環境影響研究部, 研究員 (90715484)
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| 研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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| キーワード | 近赤外線 / 陸上養殖 / 種苗生産 / 魚体温 / 省エネ / ヒラメ / キツネメバル |
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| 研究実績の概要 |
魚類の陸上養殖や種苗生産では，低温による成長や活力の低下防止，成熟促進のため飼育水を加温する施設がある。一方，近赤外線は，メラニンやヘモグロビンなどによく吸収されるが水には吸収されにくい。この性質を利用し，近赤外線を魚類に照射することで飼育水を加温することなく魚類の体温を上昇させる，省エネ技術の開発を試みた。実験には，人工採苗されたヒラメとキツネメバルの稚魚または幼魚を，近赤外線の光源には850nmのLEDランプを用いた。
近赤外線照射による魚体温変化を把握するため，調温海水循環水槽中の脊椎骨付近に熱電対を挿入した麻酔魚に近赤外線を照射し，近傍の水槽水との温度差を求めた。この結果，温度差は，照射直後から直線的に拡大し1℃前後に達したが，照射停止とともに縮小した。近赤外線を照射しない魚体温度には変化がなかった。このことから近赤外線の放射熱によって水中の魚体を温められると考えられた。
近赤外線の照射が成長に及ぼす影響を把握するため，個体標識した稚魚を調温海水循環水槽中の2組の網カゴに収容後，一方に近赤外線を照明し実験区とし，他方を対照区として123日間給餌飼育した。この結果，キツネメバルでは両区の体重増加量に明瞭な差異がみられなかった。しかし，ヒラメでは飼育19日目以降実験区での体重増加量が対照区に比べ有意(p<0.05)に高い値を示した。
魚体が近赤外線を吸収することを確かめるため，表皮に近赤外光やハロゲン光を照射しマルチスペクトルカメラや，赤外線顕微鏡での観察，及び，反射光のスペクトル解析を行った。この結果，両種とも表皮での近赤外線吸収が確かめられ，ヒラメでは無眼側に比べ有眼側で高い吸収することがわかった。
以上の結果から，近赤外線は海水中の魚体に照射することで表皮から吸収され魚体を昇温させ，さらに，成長促進に寄与する可能性が推察された。
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