研究課題/領域番号 |
21K19133
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
林 誠 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (50714838)
|
研究分担者 |
吉崎 悟朗 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70281003)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
キーワード | 光スイッチ / ニジマス / CRISPR/Cas9 |
研究実績の概要 |
近年、水産分野において、不妊化技術は養殖場から逃亡した個体による遺伝子汚染への対応策や、作出した優良系統のコピー防止策として注目されている。よって、安定した簡便な不妊魚作出法は幅広い応用が期待される。 しかし、不妊化した個体からは次世代を得ることができない。そのため、ヘテロで系統を維持する必要があり、その交配で得られた次世代では1/4しか不妊にならないため、不妊魚を選別する必要があるのが現状である。そこで、本研究では、簡便な不妊魚の大量生産技術として、光スイッチを利用したCRISPR/Cas9法による不妊魚作出技術の確立を目標に研究を行う。 そのために、まず、光スイッチを利用したCRISPR/Cas9が、低水温環境で飼育されるニジマスにおいても利用可能かどうか確かめる必要がある。そこで、光スイッチを利用したCRISPR/Cas9が作用したかどうかを容易に判別できるよう体色遺伝子の一つであるslc45a2遺伝子に着目した。この遺伝子はメラニン合成に関わるため、この遺伝子の機能を破壊すると黒色素が欠損し、アルビノの表現型を示す。 現在、このslc45a2遺伝子に対するガイドRNAと光スイッチを利用したCRISPR/Cas9を全身で発現させるためのコンストラクを準備している。 また、生殖細胞の発生に必要なdead end遺伝子の機能を、CRISPR/Cas9法により破壊することで不妊魚作出ができることを明らかにすることに成功した。今後、この解析時に使用したガイドRNAを生殖系列で発現させるコンストラクトも合わせて作成することにより、光スイッチを用いた不妊魚の作出に挑戦する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、遺伝子導入魚作成用に必要なVectorの準備に注力して進めている。具体的には、全身で光スイッチを利用したCas9タンパク質を発現するためのコンストラクトと、メラニン合成に関わる遺伝子であるslc45a2に対するガイドRNAを全身で発現させるためのコンストラクトの作成を継続している。
|
今後の研究の推進方策 |
今年、ニジマス繁殖期の秋までに計画しているvectorを完成させることで、遺伝子組換え個体の作出を行うとともに、その解析を進めていく予定である。また、現在進めているコンストラクトに加え、生殖系列において、dead endに対するガイドRNAを発現させるためのコンストラクトの作成にもとりかかる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現在、遺伝子導入魚作成用に必要なVectorの準備に集中して進めているため、当初の支出額には至らなかった。 次年度以降、遺伝子導入魚の作成を行い、解析を進めていくための飼育費用に充てていきたいと考えている。
|