研究課題/領域番号 |
21K19142
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷川 東子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10353765)
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研究分担者 |
濱口 京子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60343795)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
平野 恭弘 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60353827)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 腸内フローラ / 土壌環境 / 菌叢解析 / リター分解 |
研究実績の概要 |
土壌動物の「腸内フローラ」が立地環境に影響を受け、森林生態系における物質循環に関与するかを模索するため、まず調査地を選定した。選定には、土壌の理化学性が大きく異なる複数の森林があること、そこでは土壌動物が豊富に存在すること、落葉層・土壌層の採取後に速やかにツルグレン装置にかけられるように、アプローチが容易であることを必須条件とした。その結果、2シリーズの調査地が選定された。1つは地質が立地環境差をもたらす愛知県瀬戸市の「海上の森」ヒノキ林であり、もうひとつは「肥沃で酸性度が低い土壌」と、その対極にある「痩せて酸性度の高い土壌」という差異をもつヒノキ林2林分である(前者は静岡県三ケ日市の、後者は愛知県・静岡県のヒノキ林である)。とくに静岡県と愛知県のヒノキ林では、物質循環が異なることが、我々のこれまでの調査で明らかになってきている。「海上の森」に成立するヒノキ林では、花崗岩質土壌の2林分および砂礫層土壌の2林分、計4林分から表層土壌(落葉層・ルートマットを含む)を採取した。また愛知県・静岡県のヒノキ2林分林では、林内で3か所から表層土壌を採取した。その後、ともにツルグレン装置を用いて土壌動物を抽出した。腸内細菌の調査地間比較を行うために、腸内細菌の採取が可能な体サイズを持ち、かつ調査地間で共通に出現するような土壌動物の選定を開始した。これらの野外・室内調査と並行して、腸内細菌と生物体の外界との関係について、文献調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
立地環境の異なる複数の森林から、順調に土壌動物の採取まで進んでいる。腸内細菌の菌叢解析の試行が若干遅れ気味ではあるが、その準備は順調に進んでいることから上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
土壌動物の腸内フローラの実態は不明な点が多いが、立地環境によって腸内フローラが異なるかを検証し、それらの中に物質循環を駆動することがすでに報告されている菌種がいるかを明らかにして、その環境応答性や環境へ与える影響を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のために、研究資材が入手困難時期や家庭責任の一次的な増大時期が重なり、菌叢解析の試行を次年度に移動させたため、その費用の繰り越しを行った。
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