研究課題/領域番号 |
21K19154
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
丸山 毅 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究専門員 (20353865)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 万能細胞 / 不定胚 / 苗条原基 / 栄養繁殖 / マイクロプロパゲーション / スギ / ヒノキ / 組織培養 |
研究実績の概要 |
令和4年度の研究実績は、以下のとおり。 ①スギ・ヒノキ成木の栄養器官から得られた無菌化の外植体を用いて、不定胚形成細胞や苗条原基などを誘導するための培養条件を探索した。その結果、誘導用培地にサイトカイニン(6-ベンジルアミノプリン、ゼアチン、メタトポリン)を主に添加する場合は、マルチシュート或いは苗条原基の誘導に対し、オーキシン(2,4-ジクロロフェノキシン酢酸、1-ナフチル酢酸、3-インドール酢酸)を主に添加する場合は、カルス或いは不定胚形成細胞の誘導が観察された。 ②スギ・ヒノキ成木の栄養器官から得られた無菌化のシュートを用いて、外植体の低温処理法やThin Cell Layer 培養法の効果を検証した。複数クローンのシュートを輪切りにし(薄さ0.5-1.0 mm)、オーキシンやサイトカイニン等を含む不定胚形成細胞誘導用培地に置床し、5℃(1-12週間)の低温処理を行った。その結果、ほぼすべての実験ではカルス形成が見られたものの、不定胚形成細胞の誘導がごくまれにしか観察されなかった。この結果は、培養条件又は外植体に施された処理のいずれかが適切ではなかったことを示唆された。引続き次年度は、不定胚形成細胞の誘導率を向上させるための培養条件を再検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スギやヒノキ成木の組織培養により導入された植物材料から、万能細胞の誘導実験を開始したが、適用した処理に対する外植体の反応が予想以上に時間がかかったため、当初予定されていた実験の一部が延期になった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、以下の研究を実施する。 ①万能細胞の誘導率を向上させるための培養条件を再検討し、万能細胞の分化能力を検証する。 ②得られた万能細胞からの個体再生および苗化を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究の進捗状況を踏まえて、次年度は万能細胞誘導効率及び分化能力を向上させるための培養条件の解明に使用する額が予定より多くなることを予想されるため、一部の額を次年度に繰越した。 (使用計画)研究推進のためには、培養容器類、植物培養用関連試薬、無菌操作に必要な薬品や消耗品などの購入、及び植物培養のルーティンワークに必要な実験補助員の人件費などを計画している。また、得られた研究成果を研究集会で発表するために必要な旅費を計上した。
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