水産研究・教育機構 開発調査センターでは、過去30年間にわたり頭足類資源の有効利用および効率的な漁獲方法の検討のために、アカイカ、スルメイカ、アメリカオオアカイカ、ニュージーランドスルメイカ、アルゼンチンマツイカの漁場調査を行い、その中で取得した生物データを保有している。そこで、これらをデータベース化し、その摂餌行動を種ごとに検証した。検証には一般化線形モデルを用いて統計的に解析した 一般化線形モデルによる統計的な分析の結果、北太平洋のアカイカにおいて、成熟した雌で共食い行動が特異的に多いことが分かった。これまで、頭足類の共食い行動は食欲旺盛さと環境の餌資源不足が相まって起こる偶発的な現象と思われてきた。本結果から、アカイカでは非常事態における「やむを得ずの生存戦略」に加えて、繁殖戦略、即ち「性的共食い行動」の行動形質を獲得している可能性が示唆された。 本現象を確認するために、2021年12月から2022年2月までに沖縄本島南東海域にて行われたソデイカ漁に混獲されたアカイカを使用し、胃内容物の確認。生物情報として外套長、体重、各生殖器官の重量などを計測した。沖縄県糸満漁協で漁獲されたアカイカ成熟個体を用い、胃内容物の分析を行った結果、雌の胃内からは、頭足類の嘴やかぎ爪、小魚の骨などが発見された。現在、頭足類のユニバーサルプライマーを用いて種同定を行っている。このことにより、共食いの実態をとらえる。
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