本年度は、令和3年度に確立した、脱脂米糠糖化液(DRB)のC:N、C:P比双方の任意制御方法により、任意の各種C:N、C:P比の条件下での油性酵母を用いたDRBからの微生物油脂生産試験を実施し、その結果を主成分分析(PCA)、Biplotによる油脂生成因子の解析とその評価を実施した。3菌株の主成分分析(PCA)、Biplotによる油脂生成因子の解析おける累積寄与率(第一・第二主成分)は、67-73 (%)であり、解析結果は十分に3菌株の油脂生成特性を説明できていると考えられる。Rhodotorula sp. C7(C7株)は、菌体増殖量、油脂生成量、EPS生成量、オレイン酸含有率等から成るクラスター形成・相関が認められた。これに対し、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸含有率、TUD(総油脂不飽和度)値を含むクラスターは、負の相関を認めた。Rhodosporidium paludigenum C10(C10株)は、油脂生成量、EPS生成量、不飽和脂肪酸であるパルミチン酸等から成るクラスター形成・相関が認められた。Sporidiobolus pararoseus KX709872(KX株)は、菌体増殖量、油脂生成量、EPS生成量、糖消費量等から成るクラスター形成・相関が認められた。これに対して、リノール酸含有率、リノレン酸含有率、TUD値を含むクラスターは、負の相関を認めた。3菌株共通して、菌体増殖量、糖消費量からなるクラスターに対し、不飽和脂肪酸であるリノール酸・リノレン酸含有率、TUD値(KX株では、パルミチン酸含有率も含まれる)を含むクラスターは、負の相関を認めた。このことは、菌体増殖と連動した高油脂生成を培養工学的に目指した場合、低TUD油脂生成が促進され、また、菌体増殖を抑制する事により、油脂生成量は低下するが、高TUD油脂生成の可能性を示唆した。、
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