研究課題/領域番号 |
21K19161
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
氏家 清和 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30401714)
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研究分担者 |
野口 良造 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60261773)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 代替肉 / タンパク質 / 消費者調査 / スキャナーデータ |
研究実績の概要 |
本研究では,代替肉ならびに伝統的タンパク質食品に対する消費者選好の国際比較に基づき,食文化の多様性を考慮した食の持続可能性向上方策の提案を行う.現在,食肉がもたらす,環境負荷,健康への悪影響や人畜共通感染症リスクなど,人類社会への負の影響が指摘されている.発展途上国の経済成長に伴うタンパク質需要の増加を考えると、食生活の豊かさと,食肉に依らないタンパク質源の多様化を両立することは地球規模の課題である。本研究では,大規模な消費者調査ならびにスキャナーパネルデータの解析により,これらの課題にアプローチする。 本年度は関連文献についてレビューを進め,研究対象をめぐる研究動向の把握を行った。さらに,パンデミック下において代替肉市場の急拡大が見られたことから,まず日本市場におけるこれらの商品の販売状況について分析を行うこととし,代替肉商品についてのスキャナーパネルデータの整備を進めた。これらのデータを解析することで,消費者の意識や属性が代替肉商品の消費動向にどのような影響をもたらすかを明らかにすることが期待できる。 また,今後の国際比較に備えるため,調査票の設計を行った。Food valueならびに代替タンパク質食品に対する評価を明らかにすることを目的として,既往研究の動向を踏まえながら,ベストワーストスケーリングを採用することとした。また,現在の食肉消費状況を定量的に測定するため,栄養分析の食物摂取頻度調査も取り入れることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代替肉や代替タンパク質食品をめぐる研究蓄積が近年急速に進んでいることから,既往研究の探索範囲を拡大したが,概ね網羅的な論文収集を行うことができた。さらに,日本における代替肉市場の動向についても目を配る必要性が生じたため,消費者の実際の消費行動が記録されているスキャナーパネルデータの整備も併せて進めることとして,一定の成果を得た。また,国際比較におけるベストワーストスケーリングの有効性が多くの既往研究で指摘されていることから,食に対する価値観ならびに代替タンパク質商品に対する評価を定量的に比較するために,当該手法を採用することを決定し,調査設計を行い,概ね完了した。 分析モデルの決定についても一定の目処をつけ,ベイジアンモデルとしての推定のプロトタイプを作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度進めたスキャナーパネルデータの整備は今後も進める予定である。また,既往研究を踏まえた,アジア地域のいくつかの国を調査対象候補として,消費動向についての情報を収集し,調査対象の絞り込みを図る。その上で,大規模消費者調査を実施し,選好データの収集を進める。 代替タンパク質食品については,市場動向が急激に変化していることから,これらの報道データや業者へのヒアリングも行い,現状を把握しながら,研究を進めていく。
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