研究課題/領域番号 |
21K19165
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
松川 真吾 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30293096)
|
研究分担者 |
鈴木 徹 東京海洋大学, 学内共同利用施設等, 特任教授 (50206504)
小林 りか 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (50780326)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
キーワード | ナノ油滴 / 界面剥離 / 氷点上昇 / ナノ油滴 / 氷菓 |
研究実績の概要 |
今年度は、より安定で氷点の高いナノ油膜被覆氷結晶を含有した試料を調製するために、-30℃から-80℃での極低温での貯蔵による氷結晶の拡大に伴うナノ油膜の厚膜化を検討した。さらに、ナノ油膜被覆氷結晶を含有する糖溶液のかき氷やアイスクリームなどの氷菓への応用利用の検討を行った。 -30℃でのナノ油膜被覆の検討では、ナノ油膜で被覆された氷結晶は大きく成長できないことが観察された。しかし、被覆状態は均一では無く、偏りがあった。このことが融解温度の幅広い分布と十分な氷点上昇が得られない原因と考えられた。そこで、被覆ナノ油膜を厚くするために-80℃まで温度を下げて氷結晶の拡大成長に伴う油膜の厚膜化を試みたが、氷結晶は大きくならなかった。ナノ油膜によって周りからの水分子の供給が完全に妨げられ、結晶成長が抑制されていると考えられる。また、-80℃への急冷を行った試料では、ナノ油膜に被覆された、ごく少量の氷結晶のみ発生し、ほとんどの糖溶液はガラス化しているのが観察された。 氷菓への応用利用を検討するために、ナノ油膜被覆氷結晶を含有する糖溶液を-30℃で調製し、低温でクラッシュして粉砕試料を調製した。融解挙動を観察したが、氷点の上昇はほとんどなかった。粉砕時に氷結晶表面のナノ油膜が剥離面となって容易に氷結晶を露出するためと考えられた。 以上の結果から、ナノ油膜は完全に氷結晶表面を被覆して糖溶液からの水分子の拡散を阻止することが分かった。しかし、僅かなり応力によって容易に氷結晶の表面での剥離を起こしてしまうために氷菓への応用利用のためには製造法の工夫が必要であると同時に、容易な破壊挙動を新たな機能とした有効利用の可能性が示された。
|