泌乳期の乳腺上皮細胞は抗菌成分の分泌とタイトジャンクション(TJ)の形成を行い、微生物感染を防いている。しかし、黄色ブドウ球菌は細胞内寄生菌であり、その乳房炎は難治性である。本研究では、乳腺上皮細胞の細胞膜とアクチン線維、および細胞内寄生菌を蛍光標識し、細胞内寄生菌が乳腺上皮細胞に寄生する様子を観察した。その結果、細胞内寄生菌は細胞膜に包まれた状態で細胞内に侵入すること、細胞内寄生菌は細胞接着機構が不十分な乳腺上皮細胞に対して選択的に寄生することが示唆された。また、黄色ブドウ球菌由来のリポタイコ酸が細胞外から乳腺上皮細胞のTJバリアの脆弱化と乳成分産生能力の変化を引き起こすこともわかった。
|