研究課題
本研究では、ニワトリの腸管に発達する免疫臓器である盲腸扁桃(Cecal tonsil: CT)および、我々が見出した盲腸に広く散在するリンパ組織(Cecal patches: CP)の機能および形態に関する生物学的特徴を明らかにするための免疫学的および組織学的研究を実施した。その結果、CTとCPのリンパ組織としての機能と形態は、大きく異なっていることが明らかとなった。具体的には、CPにはファブリキウス嚢由来の成熟B細胞が濾胞内に多数存在するのに対し、CTにはファブリキウス嚢由来の成熟B細胞が濾胞外(傍濾胞領域)に多数存在する一方で、濾胞内には、ファブリキウス嚢を由来としないと考えられる未成熟なB細胞が多数存在していることが組織学的に示された。ファブリキウス嚢を孵化直後に切除することで、ニワトリの免疫機能(特に脾臓を中心とした全身での抗体産生)が消失することは古くから知られている。そこで本研究でも、孵化直後の雛のファブリキウス嚢を切除し、その後のCTおよびCPの発達を精査することで、CTの濾胞内に存在する未成熟なB細胞がファブリキウス嚢非依存的に誕生することの証明を目指した。その結果、ファブリキウス嚢を切除することで、過去の知見の通り、脾臓における免疫機能(特に抗体産生に関わるB細胞の発達)は著しく減弱した。CPの発達も脾臓と同様に著しく阻害されるのに対し、CTの発達および免疫機能はファブリキウス嚢切除後も維持されることが示され、我々の仮説を指示する結果が示された。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
The Journal of Toxicological Sciences
巻: 48 ページ: 149-159
10.2131/jts.48.149
World Journal of Microbiology and Biotechnology
巻: 38 ページ: 54
10.1007/s11274-022-03243-2
The Journal of Nutritional Biochemistry
巻: 99 ページ: 108855-108855
10.1016/j.jnutbio.2021.108855
Journal of Veterinary Medical Science
巻: 84 ページ: 1128-1133
10.1292/jvms.22-0170
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 931
10.1038/s41598-022-04941-5
Microbiome
巻: 10 ページ: 31
10.1186/s40168-021-01217-4
Animal Science Journal
巻: 93 ページ: e13764
10.1111/asj.13764