研究課題/領域番号 |
21K19179
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山内 啓太郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70272440)
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研究分担者 |
村田 幸久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40422365)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 脂肪分化 / 筋ジストロフィー / 脂肪交雑 / 細胞老化 / 間葉系前駆細胞 |
研究実績の概要 |
家畜ではいわゆる「霜降り」とよばれる筋肉内脂肪蓄積がおこる。一方、筋ジストロフィーやサルコペニアといった筋疾患では筋肉内に通常みられない脂肪細胞が出現する。筋肉内に出現する脂肪細胞の起源はいずれの例でも脂肪分化能をもつ間葉系前駆細胞(MPC)であることから、霜降りと筋疾患でおこる脂肪細胞の出現には共通した機序の存在が想定される。脂肪細胞は前駆細胞からの分化により生じるが、生体内で実際に脂肪細胞の分化を直接引きおこす真の因子については明らかになっているとは言い難い。我々はDMDラット骨格筋では加齢性に細胞老化が生じていることを報告したが、この時興味深いことに骨格筋内脂肪蓄積の程度が出現する老化細胞の割合と強く相関していた。本研究では老化細胞が脂質などの産生を介して周囲の間葉系前駆細胞の脂肪分化を誘導するという仮説を検証することを目的とした。これまでの成果をまとめると以下の通りである。 MyoDの発現をsiRNAにより阻害したラット骨格筋初代培養細胞では脂肪細胞の出現がおこるが、この時、細胞老化因子の発現増加が生じていた。このことはMyoD阻害により筋細胞の老化が生じ、脂肪分化を誘導している可能性を示すものである。そこでin vivoでMyoD機能を低下させたモデルとしてMyoDの下流にGFPを繋いだMyoD-GFPラットを作製した。本ラットをDMDラットと掛け合わせたところ(MyoD-GFP/DMDラット)、DMDラットに比べて筋肉内脂肪蓄積が大きく亢進した。そこで空間トランスクリプトーム解析を利用し、MyoD-GFP/DMDラット筋切片における脂肪細胞近傍に存在する細胞の性状解析を行った。その結果、Dpp4陽性MPCが脂肪細胞の起源となっていること、さらにその周囲に存在するCxCl14陽性MPCがDpp4陽性MPCの脂肪分化を誘導している可能性が示された。
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