2023 年度研究成果報告書

ウイルスの適応・進化における宿主RNA依存性RNAポリメラーゼの意義の解明

研究課題

PDF

研究課題/領域番号	21K19191
研究種目	挑戦的研究(萌芽)
配分区分	基金
審査区分	中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
研究機関	長崎大学
研究代表者	好井健太朗長崎大学, 高度感染症研究センター, 教授 (50421988)
研究期間 (年度)	2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード	RNA依存性RNAポリメラーゼ / RNAi / マダニ / ダニ媒介性ウイルス
研究成果の概要	RNAウイルスの遺伝子RNA複製はウイルスが持つ RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp) が担っているが、近年、ウイルスだけではなく、宿主となる様々な生物種も独自のRdRpを保有している事が明らかになってきた。本研究ではこの宿主由来RdRpに着目し、宿主RdRpがウイルスの複製に与える影響を解析した所、各宿主は複数のRdRpホモログを保有しており、各RdRpはウイルスごとに複製促進およびウイルス排除の双方に働くものが存在しており、ウイルスは複数のRdRpが存在する宿主細胞内環境下に適応する形で進化をしてきた可能性が示された。
自由記述の分野	獣医学
研究成果の学術的意義や社会的意義	本研究の成果は、ウイルスが媒介宿主への適応やウイルス感染に対する宿主RdRpの多様化等、不明な点の多いウイルス－宿主の共生関係についての解析を推進させ、ウイルスの起源の探索や、ウイルスの進化予測技術の確立による流行予防等の基盤構築につながると期待される。また得られた知見を応用する事で、媒介動物体内では排除されやすく自然環境中に残存しないように改良したワクチン開発や、ウイルスを排除しやすくした媒介動物の開発によるベクターコントロール等の感染制御法への将来的な応用が期待される。