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2021 年度 実施状況報告書

順逆遺伝学に基づく野生マウスの温順化

研究課題

研究課題/領域番号 21K19196
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

吉川 欣亮  公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, プロジェクトリーダー (20280787)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード育種 / 家畜化 / 野生マウス / 防衛本能 / ゲノム多型 / 多型マーカー / 連鎖解析
研究実績の概要

本研究では、日本産野生マウス由来の近交系MSM/Ms(MSM)の攻撃性および逃亡行動に関わるゲノム多型を同定し、同定した多型をゲノム編集することによってMSMを温順化することを目的としている。
本研究はMSMとパートナー系統との交配実験により作製したF2または戻し交配個体の遺伝子型と、攻撃性および逃亡行動の表現型との連鎖解析が研究の出発点となる。我々は、MSMマウスと同様に日本産野生マウス由来の近交系であるが、MSMマウスとは異なり、ヒトに従順で温順なJF1/Ms (JF1) マウスをパートナー系統として選定している。そこで本年度は連鎖解析に必要な両系統間の遺伝子型を判定するための多型マーカーの開発と方法の確立を行った。
MSMとJF1マウス間のゲノム多型(single nucleotide polymorphism: SNP)はMoG+, mouse genome database with high added valueデータベースで検索し、マウスゲノムを密にカバーできるようにSNPマーカーを設定した。設定したマーカーはサンガーシークエンシングにより塩基配列を決定し、両マウス間のSNPを確認した。本年度に作製したSNPマーカーはマウスゲノムに平均21 Mb間隔と大まかな遺伝解析を実施できるレベルに設定できたが、30 Mb以上マーカー不在の領域も9箇所存在している。また、これらのマーカーの遺伝子型判定は、TaqManアッセイ法をはじめ複数の方法を試した結果、正確性とコストからリアルタイムPCRを用いたハイレゾリューション・メルティング解析が最適であると判断した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現時点では、MSMとJF1マウス間の遺伝子型判定可能なマーカーセットは、広いマーカー不在の領域が存在し、また、ゲノム上により密なマーカー設置が必要な状況ではあるが、本年度の主要な目標であった順遺伝学的解析のためのSNPマーカーの開発はほぼ達成できた。また、迅速に数多くの遺伝子型判定を行うための大きな課題はコストであったが、ハイレゾリューション・メルティング解析を用いることによりコストの低減が実現できたと考えている。
一方、本研究ではアグーチ遺伝子をゲノム編集した黒色MSMマウスと、エンドセリンレセプターB遺伝子の第1イントロンに挿入したトランスポゾンがほぼレスキューされた復帰突然変異体である黒色JF1マウスを用いるが、現在両マウス間の交配準備を進めている。

今後の研究の推進方策

来年度は第一に黒色MSMと黒色JF1マウスの交配によりF1マウスを作製し、攻撃性および逃亡行動の表現型を解析することから研究を開始する。次にF1マウスの攻撃性および逃亡行動の表現型に基づき、F2または戻し交配マウスを作製し、作製したマウスは表現型を解析し、遺伝子型を判定することで表現型-遺伝子型間の連鎖解析を実施する。さらに連鎖解析によって絞り込んだ領域からは、SNP, 挿入・欠失変異などを探索し、候補となる多型を選択する。候補として選択した多型は、MSMマウスにおいてゲノム編集し、多型の機能を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

黒色MSMマウスの導入が遅れたため、次年度使用額が生じた。個体が得られ次第支出する。
また、数種のSNPマーカーにおいては、ハイレゾリューション・メルティング解析により遺伝子型判定が困難なため、TaqManアッセイのためのマーカーの作製が必要となり、作製費用は翌年度の資金と合わせて使用する。

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公開日: 2022-12-28  

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