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2021 年度 実施状況報告書

異種間胚盤胞補完法を用いた器官サイズ創出機構解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K19202
研究機関東北大学

研究代表者

田村 宏治  東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70261550)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワード異種間胚盤胞補完法 / 器官サイズ / ジャイアントダニオ / ゼブラフィッシュ
研究実績の概要

本研究では、動物種固有の器官サイズ創出機構を理解することを目的に、魚類の胸鰭をモデルとし、異種間胚盤胞補完という方法を用いてアプローチする。
異種間胚盤胞補完技術は、ほ乳類の初期胚を用いて確立された、別種の動物に器官を作らせる夢のある技術である。この方法を用いると、たとえばラット由来の膵臓をもったマウスを発生させることができる。このとき興味深いのは、本来ラットの膵臓はマウスの膵臓より大きいにもかかわらず、マウス個体に作られたラット膵臓はマウス(宿主)のサイズになる。本研究では、さまざまな実験が容易かつ短期間にできる小型魚類に異種間胚盤胞補完法を応用し、個体サイズの異なる比較的近縁な淡水魚種間の胚盤胞補完によってサイズ感知と器官サイズ調節のしくみを明らかにする。
本年度はまず、用いる魚種の選定を行った。候補として、ゼブラフィッシュ、小型の近縁種であるダニオネラ、大型の近縁種であるジャイアントダニオ、を飼育した。このうち、ダニオネラについては飼育は可能であるが安定した産卵数を得ることができないことが判明し、実験系から外すこととした。そこで、器官サイズと体サイズの関係を、ゼブラフィッシュと大型の近縁種であるジャイアントダニオを用いて調べた。その結果、両種において飼育条件を統一することで飼育日数と体サイズおよび眼、鰾、胸鰭の形態およびサイズに相関が見られることが判明した。これにより、両種間の移植をした場合に、体サイズと器官サイズの関係を議論することができる基盤を構築できた。
一方で、異種間移植をした場合の拒絶反応を考慮するために、免疫寛容系統を用いる必要を考え、免疫寛容系統(rag1変異体、rag1V311fs)を入手し飼育および個体数拡大を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小型魚類モデル生物・ゼブラフィッシュが属する骨鰾類(コイ目コイ科)の3種、体サイズが著しく大きいジャイアントダニオ(Devario malabaricus)とゼブラフィッシュ(Danio rerio)、さらに極小型のダニオネラ(Danionella sp.)の飼育環境を整えた。しかし、ダニオネラについては産卵が不安定で実験系として不適切であることが判明した。ダニオネラを除いた2種で研究を進めるか、ダニオネラの代替種を用いるか検討中。
ジャイアントダニオについては、個体サイズと器官(胸鰭)サイズとの相関を詳細に調べることができた。胚盤胞補完のための宿主系統を用意し、移植技術も会得してきているので、おおむね順調に研究課題は進捗している。

今後の研究の推進方策

各魚種の器官サイズと飼育条件との関係についてさらに詳細な解析を行い、できればゼブラフィッシュとジャイアントダニオの2種で胚盤胞補完実験を推進する。必要であれば別の魚種を検討する。また、用意した免疫寛容系統(rag1変異体、rag1V311fs)とすでに作製済みであるfgf24変異体(crispant)を用いて宿主ゼブラフィッシュを作出し、移植実験を推進する。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では、小型魚類モデル生物・ゼブラフィッシュが属する骨鰾類(コイ目コイ科)の3種、体サイズが著しく大きいジャイアントダニオ(Devario malabaricus)とゼブラフィッシュ(Danio rerio)、さらに極小型のダニオネラ(Danionella sp.)を用いる予定であったが、ダニオネラの産卵を安定して得られないことが判明したため、胚盤胞補完の計画に変更が生じた。他の魚種を使用するかどうか検討中であり、検討結果をもとに次年度に進める。他の計画はおおむね順調に進展している。それらを総合して計画を進め完遂させるため、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] サイズの異なるゼブラフィッシュとジャイアントダニオの形態形成の比較2021

    • 著者名/発表者名
      速水一、阿部玄武、田村宏治
    • 学会等名
      日本動物学会・令和3年度東北支部大会

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公開日: 2022-12-28  

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