研究課題
本研究では、動物種固有の器官サイズ創出機構を理解することを目的に、魚類の胸鰭をモデルとし、異種間胚盤胞補完という方法を用いてアプローチする。異種間胚盤胞補完技術は、ほ乳類の初期胚を用いて確立された、別種の動物に器官を作らせる夢のある技術である。この方法を用いると、たとえばラット由の膵臓をもったマウスを発生させることができる。このとき興味深いのは、本来ラットの膵臓はマウスの膵臓より大きいにもかかわらず、マウス個体に作られたラット膵臓はマウス(宿主)のサイズになる。本研究では、さまざまな実験操作が容易かつ短期間にできる小型魚類に異種間胚盤胞補完法を適用し、個体サイズの異なる比較的近 な淡水魚種間の胚盤胞補完によってサイズ感知と器官サイズ調節のしくみを明らかにすることを目指した。比較的近縁な種で体サイズがほぼ3倍ほど異なるゼブラフィッシュとジャイアントダニオを準備し、本年度は、両者の個体サイズと器官(胸ビレ)サイズの成長過程における変化のデータの獲得し比較することで個体サイズと器官サイズの相関を示した。さらに、胸ビレ欠損系統や免疫寛容変異系統の準備が整ったことから細胞移植実験を開始し、移植細胞の生存が確認されたなど、胚盤胞補完法の確立の基盤を構築した。
すべて 2024
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
Developmental Dynamics
巻: - ページ: -
10.1002/dvdy.699
10.1002/dvdy.698
Development, Growth & Differentiation
巻: 66 ページ: 235~247
10.1111/dgd.12918