研究課題/領域番号 |
21K19205
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 邦律 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20373194)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | オートファジー / 出芽酵母 / オートファゴソーム / 緑色蛍光タンパク質 / 温度感受性 / 高温感受性 |
研究実績の概要 |
当研究室では共同研究を通じて、選択的オートファジーの基質である、Ape1複合体が液-液相分離により形成される構造体であることを示した(Yamasaki et al., Mol. Cell, 2020)。また我々は最近になって、Ape1にGFPを融合することで高温培養条件下の液-液相分離が阻害され、Ape1複合体形成が不能となる現象を見いだした。本研究課題では、GFPを融合するとタンパク質の活性が温度感受性になる現象が他のタンパク質にも適用可能であることを調べることを目的としている。 出芽酵母の生育に必須な遺伝子を破壊すると致死となる。こうした遺伝子は“必須遺伝子”と呼ばれる。上述のように、同様に必須遺伝子にコードされたタンパク質にGFPを融合すると、高温条件下で相分離が起こらなくなり、活性を失う、つまり致死となる可能性を想定した。出芽酵母では、各遺伝子がコードするタンパク質のC末端にGFPを融合した4,100種類余りの株のコレクションが存在する。初年度の研究では、これらの株を寒天培地にて培養し、高温で生育が悪くなる株をスクリーニングすることを目標とした。 初年度の研究で、4,100種類の株の一次スクリーニングが終了し、556種類の株が高温感受性の生育を示すことが明らかとなった。現在得られた候補株をスポッティングアッセイにより二次スクリーニングしているところであり、一次スクリーニングの候補株の約5分の1が確かに温度感受性の生育を示すことが明らかとなってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Ape1-GFP複合体の形成が温度感受性であることを示し、論文を投稿することができた。また、4,100株の一次スクリーニングを終了し、既にかなりの数の温度感受性株が得られている点も評価している。
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今後の研究の推進方策 |
二次スクリーニングを完了し、得られた候補遺伝子の顕微鏡観察を行う。また候補遺伝子をGene Ontology解析し、液-液相分離が主要な役割を果たす細胞内経路を探索する。これまで、生物が高温で成育できないのは、タンパク質が変性することが大きな原因であるとされてきたが、生育に必須な構造体の液-液相分離ができなくなることもひとつの要因なのかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画時には、温度感受性の実験に気相インキュベーターを購入・使用することを想定していた。しかし、予備実験を進めると、研究室で保有しているウォーターバスの方が実験に適していることが明らかとなってきた。この結果を踏まえ、当初予定していた52万円の気相インキュベーターの購入を取りやめたことが使用額減少の主要な要因である。また、研究を進めるための技術員の雇用が遅れたことも相まって、使用額が計画よりも大きく減少することとなった。
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