研究課題/領域番号 |
21K19207
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大戸 梅治 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (90451856)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | クライオ電子顕微鏡 / アモルファス / 気液界面 / グリッド / PEG化修飾 |
研究実績の概要 |
近年、クライオ電子顕微鏡(クライオ電顕)は構造生物学の分野において目を見張るべき発展を遂げてきた。クライオ電顕は構造解析の主要な方法論となりつつあるが、電顕観察に供するグリッド作製に関しては困難を伴うことが多い。サンプル凍結の際のアグリゲーション、変性、粒子の分散性の悪化などである。クライオ電顕解析では、サンプルをグリッド上にアプライ後、ろ紙を使って余分な水分を除いて、液体エタンで急速凍結することで、薄い氷中にサンプル粒子を閉じ込めて観察するが、その際に粒子が気液界面に接することで変性すると考えられている。グリッド上での粒子の挙動を改善するには多大な労力を要するのが一般的である。本申請課題では、クライオ電顕のグリッド上での粒子の挙動(分散性、粒子数、安定性)を改善するための手法として、サンプルを化学修飾でPEG化することの有効性を実証する。 今年度は、クライオ電顕におけるPEG化の有効性を実証するためのモデルタンパク質として、ベータアミラーゼ、アルコール脱水素酵素、NOD2、IgGに関してPEG化の影響を調べた。いずれの場合も、PEG化修飾することで粒子がグリッドの氷中に観察されやすくなった。また、アポフェリチンおよびベータガラクトシダーゼを用いて、PEG化の影響を調べた結果、PEG化修飾によって大きな構造変化は認められないことが確認できた。これらの結果は、PEG化修飾が一般的にクライオ電顕のサンプル調製時に有効であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PEG化修飾の有効性を示すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より広範なタンパク質に関してPEG化の有効性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、当初予定していた学会発表などを行わなかったため、次年度使用額が発生した。今年度に合わせて使用する予定である。
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