本研究では中心体喪失による動物一倍体細胞のゲノム不安定性をi)中心体複製不全を解消する新しい分子回路の設計と、ii)中心体不在のまま安定な分裂増殖が可能な遺伝的背景の構築の二つのアプローチにより、一倍体状態を安定化することを試みた。iについては人工回路構成遺伝子の構造の検討、最適化を行い、内性の中心体制御系との干渉を最小化した人工遺伝子の作出に至っており、今後、その機能評価を進める。iiについては、中心体非存在下に分裂制御に関わる遺伝子制御系構成因子の、一倍体状態特有の量的不足を突き止め、その人為的補強によって、中心体喪失下で1か月以上一倍体状態を保持できる安定な細胞株の樹立に成功した。
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