研究課題
1)遠心(過重力)栽培装置の作成:改良型の過重力栽培装置を作成し、ヒメツリガネゴケの遺伝子改変個体のスクリーニングを北海道大学で開始した。2)ヒメツリガネゴケの茎葉体の光合成速度や成長は6G以上の栽培で促進され、これらの応答には閾値が存在することを見出した。10G栽培と1Gコントロール栽培のそれぞれのRNA-seqにより1Gに比べて10Gで発現変動する遺伝子群(DEG)を網羅的に探索した。その結果、発現が上昇するもの、減少するものを79個、16個同定することに成功した。また茎葉体の地上部(シュート)と地下部(仮根)に分けて1Gと10Gの発現遺伝子の比較を行い、細胞壁の機械的強度調整に関わる遺伝子がDEGとして新たに同定できた。地上過重力実験により同定したDEGに見出した8種類のAP2/ERF転写因子のうち、最もよく発現変動したAP2/ERF転写因子の過剰発現ヒメツリガネゴケを作成した。その結果、過剰発現体では、10G栽培と同様に葉緑体のサイズが大きくなり、光合成活性が上昇し、バイオマスも増えることを見出した。3) 仮根伸張形態の三次元形態の評価手法を開発した。また、仮根先端にある頂端幹細胞の遺伝子発現変動を調べ、抗酸化作用に関わる遺伝子の発現が有意に変動していることを見出した。4)4属4種のウキクサ類を10Gの過重力環境で栽培し、水生植物の過重力応答を調べた。ウキクサとウスバウキクサでは、葉状体数及び乾燥質量の有意な増加が見られた。ウキクサでは、10G処理区においてリグニン及びセルロースが多く含まれる傾向が見られた。また、根の長さと本数が10G処理区で有意に増加していた。5)10G処理区で栽培したウキクサの葉状体において、気孔開度及び気孔密度が有意に増加した。これまで、気孔開度や気孔密度が重力環境によって変化するという報告はなく、重要な新知見が得られた。
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Microscopy
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10.1093/jmicro/dfad026
アグリバイオ
巻: 7 ページ: 24-28
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