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2021 年度 実施状況報告書

ゲノム編集による昆虫の生活史制御遺伝子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 21K19296
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

山本 哲史  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (10643257)

研究分担者 曽田 貞滋  京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード生活史制御
研究実績の概要

昆虫は農作物や樹木を食害する。農林業における昆虫の被害を推定したり、予測したりするためには、昆虫の生活史制御機構を理解する必要がある。鱗翅目は昆虫において、甲虫目に次いで大きな系統群であり、農林業における害虫も多い。近年では外来生物として世界中に侵入した鱗翅目昆虫もおり、害虫防御研究の観点でも鱗翅目の生活史制御機構の解明は重要である。
本課題では、鱗翅目昆虫であるウスバフユシャク属の蛾を対象に、成虫の出現季節を決定する遺伝的基盤を同定することを目的に研究を行っている。ウスバフユシャク属は冬に成虫が出現するが、種ごと、あるいは同種内でも集団によって成虫の羽化時期が異なる。成虫期は繁殖の時期でもあるため、羽化時期の異なる種間、集団間は生殖的に隔離される。ウスバフユシャク属は、このような季節的な生殖隔離が繰り返し生じることで多様化してきたと考えられるため、羽化時期を決定する遺伝的基盤は、生活史制御の理解だけでなく、種分化機構を理解する上でも非常に重要となる。
これまでに、羽化時期が異なる近縁な2種、および同種内で羽化時期が異なる2集団から1個体ずつ、計4個体のゲノムを決定し、羽化時期に関連する遺伝的基盤を探索した。現状では、染色体スケールという高精度なリファレンスゲノムが1種について得られており、他3つのゲノムは多くのコーディング遺伝子はカバーできているものの、多数のコンティグに分割された状態である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

成虫羽化時期の異なる近縁な2種あるいは同種内の2集団のペアにおいてゲノムを決定した。この内1種については、本課題の前年まで採択されていた科研費の課題としてデータを取得し、本課題ではさらにデータを解析するという形で進めていた。本課題としては、ゲノム解析により候補となる遺伝子を特定し、その遺伝子をゲノム編集して表現型の変化を観察する予定であった。そこで、本課題の採択決定前から、研究材料を確保するためにInurois属の交尾ペアから採卵し、保管していた。確保した卵の耐凍性に関する知見はなく、本シーズンは凍結を防ぐために0.6℃に設定したインキュベーターで保管したが、結果として餌植物が得られる季節よりも早く孵化した。さらに幼虫の飼育時期は3月から4月だが、研究代表者が4月に現在の研究組織へと異動することとも相まって、飼育頭数を大幅に制限せざるを得なかった。
早く孵化したことについては、餌植物の芽吹きの早い地域で餌を採集することも検討したが、コロナ蔓延の状況下で長距離移動を控える必要もあり、断念した。

今後の研究の推進方策

2021年度もコロナ禍であったが、研究拠点のあるつくば市周辺でシーズンを通して野外採集調査を行ったほか、1度だけ東北地方においても野外採集調査を実施した。結果として早い時期に羽化するタイプのInurois属3種、遅い時期に羽化するタイプについては2種について交尾ペアを確保、採卵した。本年度はこれらを飼育し、精度の高いリファレンスゲノムを構築するため、新規ゲノム解析用データおよび連鎖地図構築用の家系を構築する。さらに、卵の保管および、胚発生に関するデータを得て、卵期にゲノム編集を行うための基礎を固める。

次年度使用額が生じた理由

本課題では野外で採集した材料に由来する個体を飼育することで研究材料を確保する予定であったが、予定どおりに飼育個体を確保できなかった。その理由で、予算を予定通りに執行できなかったために次年度使用額が生じた。また、本課題の採択時には、申請時とは異なる研究機関に異動したため、実験設備への投資が必要であった。
今後、飼育作業を担う技術補助員を雇用したうえ、ゲノム編集に必要な設備なども整える必要がある。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Parallel allochronic speciation by old genetic variants2021

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Yamamoto
    • 学会等名
      AsiaEco 2nd conference
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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