研究課題/領域番号 |
21K19302
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
藤井 佐織 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50648045)
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研究分担者 |
陀安 一郎 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80353449)
原口 岳 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 研究員(任期付) (90721407)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 土壌動物 / 放射性炭素同位体 / 餌炭素年齢 / 分解 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナ禍のため頻繁に調査・分析のための出張を行いにくいことと、共同研究者らとの話し合いの末、土壌動物の餌炭素年齢を正確に推定するために、春に展葉したばかりの葉から測定できる当年性の放射性炭素同位体濃度を測定した方がよいという結論に至ったため、同位体サンプルのサンプリングを次年度の春からスタートすることとした。本年度は、オンライン会議等で共同研究者らと話し合いを重ね、具体的なサンプリング方法を確定させ、サンプリングや分析に用いる装置等の改良を行った。また、京都大学フィールド科学教育研究センターの上賀茂試験地において、植生と腐植層の構造をベースに適当なサンプリングサイトを選出した。装置の改良に関して、具体的には、純水中に抽出された土壌動物を短時間で腐らせないように、土壌動物の抽出に用いるツルグレン装置に水冷式の冷却装置を取り付ける工作を行った。加えて、放射性炭素同位体測定の前処理であるグラファイト化の工程において、微量分析を可能にする調整を行った。放射性炭素同位体測定には1サンプルあたり乾重3ミリグラムが必要であるが、土壌動物の分類群によっては個体あたり乾重が1マイクログラムに満たないため、適量を確保するまで土壌動物の抽出と同定の作業をできる限り繰り返す必要があった。それでも微小なトビムシやダニを種レベルで集めようとすると適量に満たない場合が多く、それらについてはこれまで分析を諦めてきたが、微量分析が可能になったことで、分析可能な分類群が大幅に増加すると見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、調査出張に制限があったため。
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今後の研究の推進方策 |
京都大学フィールド科学教育研究センターの上賀茂試験地のヒノキ林とコナラ林において放射性炭素同位体測定用のサンプルとして、土壌動物の各分類群(メソファウナ・マクロファウナ)を集める。餌資源であるリターや腐植、細根など、可能であれば菌糸についてもサンプリングを行う。加えて当年性炭素の放射性炭素同位体濃度の手がかりとなる新葉サンプルも集める。その後、各サンプルについて炭素・窒素安定同位体比の測定と、放射性炭素同位体比測定の前処理であるグラファイト化を進め、加速器質量分析法にて放射性炭素同位体濃度を測定する。グラファイト化については、総合地球環境学研究所で陀安が維持管理する器具・装置を使用し、原口・藤井と共同で進める。放射性炭素同位体濃度測定は放射性物質を扱う特殊な分析であるため業者に委託する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はコロナ禍のため頻繁に調査や分析等の出張に行きにくいことと、話し合いの末、土壌動物の餌炭素年齢を正確に推定するために、春に展葉したばかりの葉から測定できる当年性の放射性炭素同位体濃度を測定した方がよいという結論に至ったため、同位体サンプルのサンプリングは次年度の春からスタートするというように研究計画を変更した。それに伴い、繰り越した予算については、次年度、主に出張費・分析費として使用する予定である。
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