研究課題/領域番号 |
21K19306
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
河崎 洋志 金沢大学, 医学系, 教授 (50303904)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 大脳皮質 |
研究実績の概要 |
ヒトの大脳は、マウスなどげっし類の大脳に比べて著しく発達していることが特徴的であると言える。このような発達した大脳構築の分子遺伝学的解析はマウスを用いて行うことが困難であることから、我々は新たなモデル動物の必要性を考え、食肉類哺乳動物フェレットに着目してきた。フェレットは大脳が大きく、脳回を持つなど大脳が発達している。我々はこれまでに、ヒトやサルで見いだされていたU線維に着目した研究を進めてきた。U線維は大脳皮質直下にある短連合線維であり、近隣の大脳皮質の機能的連合に重要と考えられている。我々のフェレットの遺伝子操作技術を用いた研究の結果、フェレットにもU線維が存在すること、フェレットのU線維は大脳皮質2/3層および5/6層に由来することなどを発見した。そこで本研究課題では、これらの研究成果を足がかりとして、これまで不明であったU線維の詳細な特性解析を目的としている。これまでにフェレット大脳皮質のU線維領域を各種染色を用いて解析した結果、U線維領域はさらに特徴の異なる2つの領域に分けられることを見いだした。現在この2つの領域の特性を詳細に解析している。U線維は認知症における重要性も指摘されており、本研究課題の成果は臨床医学的もしくは社会的な波及効果も大きい。また高等哺乳動物にはU線維以外にも、様々な特徴的な神経回路が存在することから、本研究課題の成果はそれらにも幅広く応用が可能であるなど発展性も大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フェレット大脳皮質を用いてU線維領域を各種染色などを用いて詳細に解析した結果、U線維領域はさらに特徴の異なる2つの領域に分けられることを見いだした。さらに今後の研究に必要となるプラスミドのコンストラクションを完了した。このように新しい線維領域を見いだしていることから、研究は順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
我々が新たに見いだしたU線維領域内の2つの異なる領域の特性解析を進める。電子顕微鏡を用いて解析し、軸索の直径や髄鞘の特性を明らかにする。子宮内電気穿孔法でGFPを神経細胞へと導入しU線維を可視化し、経時的にサンプリングすることにより、その形成過程を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
我々は食肉類哺乳動物フェレットに着目し、ヒトやサルで見いだされていたU線維に着目した研究を進めている。我々のフェレットの遺伝子操作技術を用いてU線維の詳細な特性を解析する予定であったが、新型コロナウイルス感染症により、フェレットの輸入が困難となったために次年度使用額が生じた。その間に、研究室に既にあったフェレット大脳の組織染色、プラスミド作成など予め準備可能な実験資材の準備を進め、またフェレットの入手状況が改善しているために、本年度中には当初予定していた実験は行うことができると考えている。物品費を用いてプラスチック器具、酵素類、実験動物などの消耗品を購入する。また研究打ち合わせ、成果発表を行うための出張旅費を計上した。その他として、英文校閲費用、論文投稿料や掲載料を計上している。
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