これまで免疫細胞の記憶は、T細胞等の獲得免疫細胞を中心に研究が行われてきた。今回、もう一種類の免疫細胞、自然免疫細胞にも、記憶があることを示した。脳には自然免疫細胞「ミクログリア」が存在するが、ミクログリアは記憶機能を有し、末梢の程度の異なる炎症を別々に記憶していた。この記憶を元に、ミクログリアは脳機能に対して異なる制御を行っていた。脳の記憶は神経細胞が担っているが、ミクログリアが担う、もう一つの記憶があることが明らかとなった。本研究は、脳には全く異なる記憶細胞が存在することを示した学術的な意義に加え、ミクログリア記憶の制御が脳の生理機能や疾患の制御に繋がることを示唆する社会的意義も有する。
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