研究課題/領域番号 |
21K19313
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
須山 成朝 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80528414)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 神経ペプチド / シナプス可塑性 / 視床下部 / 摂食・エネルギー代謝 / AgRP ニューロン |
研究実績の概要 |
C1qファミリーに属するCbln4はシナプス前部から分泌されるNeurexin, シナプス後部に局在するデルタ型グルタミン酸受容体と三者複合体を形成し、興奮性及び抑制性シナプスの形成・維持を行うシナプス形成分子である。 神経ペプチドAgouti-related peptide (AgRP)は摂食亢進の中核を担う視床下部弓状核に局在するAgRP産生ニューロンから分泌され満腹中枢のmelanocortin受容体を抑制することで摂食亢進に働くことが知られている. 申請者は予備検討により、AgRPニューロンの軸索終末にCbln4が局在し、シナプス形成ではなく、神経ペプチドAgRPの分泌制御にかかわることを示唆する結果を得た。そこでAgRPニューロン軸索のCbln4は、神経活動や空腹状態に応じて量が変化し、AgRP分泌部位形成・維持を制御する、拡散性伝達調節分子として働くとの作業仮説を立て、神経ペプチド拡散性伝達の機能的・形態的な調節機構を解明することを目的とする 。所属研究室はCbln4を含むC1qファミリー分子を第3のシナプス形成分子、細胞外足場タンパク質として確立した。この概念を非シナプス性の拡散性伝達に拡張し、細胞外構造との相互作用による新しい神経ペプチド分泌制御を確立する。この研究により得られる知見は同じく拡散性伝達を行うモノアミン系神経伝達物質、ホルモン分泌機序の理解に大きな貢献が期待できる。 当該年度は予備検討で行ったCbln4欠損に加え、AAVを介してHAタグを付加したCbln4(HA-Cbln4)をAgRP ニューロン選択的に強制発現させ、軸索でのシナプスの増減、AgRP局在の変化を明らかにした。また、HA-Cbln4ノックインマウスを作製し、免疫組織化学より高感度にCbln4の局在、結合分子を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cbln4KOマウスのAgRPニューロンの軸索終末ではシナプス形成が促進され、AgRPタンパク質の局在が低下していた。一方HAタグを付加したCbln4のAgRPニューロン特異的強制発現によりシナプス形成は抑制され、Cbln4がシナプス形成に負の制御をしていることを示唆した。 HAタグを付加したHA-Cbln4ノックインマウスを作製し、これまで行ってきた免疫組織化学によるCbln4同定より精度の高い同定を可能とした。これを用いてCbln4の局在部位と共局在する蛋白質群の同定を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
HA-Cbln4ノックインマウスを用いて、共局在するタンパク質群を明らかにする。また、Cbln4が接着する細胞外構造をGRAPHIC法などをもちいて可視化する。絶食負荷、optogeneticsなどを用いてAgRPニューロン活動を制御し、Cbln4の有無による神経伝達、AgRP分泌の変化を明らかにする。AgRP分泌の動態を蛍光測光により明らかにする。これによりCbln4によるAgRP分泌制御の機能的・形態的調節の分子機序を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は予定より少額の研究費で研究が進展したため、その分を次年度に繰り越す。次年度は光学測光実験を多数予定しておりそのための機器・消耗品に用いる。
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