研究実績の概要 |
研究代表者らは今年度、マウスを用いた研究において脳細胞で新規翻訳後修飾・乳酸修飾が生じていることを見出し、その研究成果を国際学術誌にて発表した(Hideo Hagihara, Hirotaka Shoji, Hikari Otabi, Atsushi Toyoda, Kaoru Katoh, Masakazu Namihira, Tsuyoshi Miyakawa. Cell Reports, Volume 37, Issue 2, 109820, 2021; https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211124721012845#!)。この論文では、神経過活動モデルマウスおよびストレスモデルマウス(社会的敗北ストレスの負荷)の脳おけるタンパク質乳酸修飾の挙動を示した。そこで、これら以外の神経精神疾患モデルマウスについて検討した。神経変性疾患モデルマウスの海馬において、乳酸化リジン抗体(pan-lactyllysine抗体)を用いた免疫組織学的解析を行ったところ、モデルマウスと野生型マウスとの間に免疫反応性に顕著な差は見られなかった。つまり、このモデルマウスの海馬では、タンパク質の総乳酸修飾レベルは変わっていないことが示唆された。特定タンパク質の特定のリジン残基の乳酸修飾を認識する抗体を用いた検討を行うとともに、海馬以外の脳領域においての検討も行う。
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