研究実績の概要 |
乳酸によるタンパク質の乳酸修飾、特にヒストンタンパク質の乳酸修飾は、細胞代謝とエピジェネティクスをつなぐメカニズムとして近年注目されている。今年度、ヒストンタンパク質の乳酸修飾に着目して、脳内の乳酸量の増加が確認されている各種の精神・神経疾患モデルマウス(Hagihara H. et al., eLife 2024)において、ヒストンタンパク質(Histone H2A, H2B, H3, H4)の特定のリジン残基に対する複数種類の乳酸化抗体を用いて発現解析を行った。海馬の歯状回顆粒細胞とアストロサイトについて、用いた乳酸化ヒストン抗体ではいずれのモデルマウスにおいても顕著な発現変動は見られなかった。研究代表者らは前年度までに、乳酸化リジン抗体(pan-lactyllysine抗体)を用いた解析で、いくつかの系統のモデルマウスにおいて細胞種選択的に乳酸修飾が亢進していることを見出しているが、そのモデルの細胞種においてはヒストンタンパク質以外の乳酸修飾が増加していることが示唆される。
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