大脳皮質における体性感覚の階層的情報処理の機構には不明な点が多い。本研究ではマウスを用いて一次体性感覚野から投射を受ける異顆粒帯での情報処理機構を調べた。その結果、異顆粒帯ではマウスの接近(社会性接近刺激)とマウス型ぬいぐるみの接近(非社会性接近刺激)に反応するニューロンが発見され、さらには、異顆粒帯の小領域ごとに両者の刺激を区別するニューロンの割合が異なることも明らかになった。ただし、これらの反応は触覚刺激以外の要因も関与しており、異顆粒帯は高次体性感覚野というよりは社会性に関する高次認知領野である可能性が示唆された。
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