糸状菌のゲノム上には、未利用な休眠生合成遺伝子クラスターが膨大に存在する。本研究では、新たな新規化合物探索法の開発を目的として、制限酵素によるDNA切断に誘発される大規模ゲノム再編成技術を応用した糸状菌休眠生合成遺伝子クラスターの活性化法の開発を試みた。制限酵素をAspergillus nigerに発現させ、さまざまな条件を検討した結果、30度程度の環境で継代培養することで、形質変化株が得られることを見出した。また、二次代謝物生産のプロファイルの変化や、ゲノム再編成が生じていることを確認した。現状、萌芽的な結果ではあるが、ゲノム再編成が、多様な休眠遺伝子の活性化に利用できる可能性を示した。
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