研究課題
世界中では年間約70万人が薬剤耐性菌感染症で亡くなっており、薬剤耐性菌問題を克服することは世界的な重要課題の1つである。菌体における薬剤耐性化に関わっている主な原因の一つに、抗菌剤を菌体外に排出するRND型多剤排出タンパク質複合体の高発現により抗菌剤の増殖抑制を無効にすることが上げられる。RND型多剤排出タンパク質複合体の機能を阻害する分子の戦略的な開発に必要な情報を蓄積することが重要であると考えている。本研究では、巨大な膜タンパク質複合体であるRND型多剤排出タンパク質複合体と様々な基質との相互作用の定量化及び視覚化を目的に、1)各構成タンパク質及び複合体と基質との相互作用の定量的なデータの蓄積、2)各構成タンパク質及び複合体の基質結合型の高分解能での立体構造情報の取得に取り組む。RND型多剤排出タンパク質複合体の試料として、研究代表者が機能する現場で形成する複合体の構造解析に成功した緑膿菌由来のMexAB-OprM複合体を用いている。本年度は、昨年度に引き続きMexAB-OprM複合体の構成タンパク質の一つである内膜タンパク質のトランスポーターMexBと基質との相互作用を様々な手法で定量的に解析を行いつつ、基質結合型の立体構造情報の取得に向けて構造解析を進めることを目的とした。1) MexBの相互作用解析に適した試料調製を行った。その後、MexBと基質との相互作用を調べるために、等温滴定カロリーメトリー法と示差走査熱量測定法を用いて解析した。また、2)トランスポーターMexBの基質結合型の立体構造情報の取得に向けて複数の条件で結晶化を行い、得られた結晶に基質を浸透させることにより基質結合型の結晶構造解析を進めた。
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Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 120 ページ: e2215072120
10.1073/pnas.2215072120
http://www.protein.osaka-u.ac.jp/rcsfp/supracryst/research/theme/yakuzai-haisyutu/